はじめに
結婚、出産、子育て、介護等・・・。女性は男性に比べて、各世代で様々なライフイベントが多く、いざ転職をするとなると、採用する側も採用される側も慎重になる傾向があるようです。特に、女性が未経験からの転職を成功させるには、それらのライフイベントを見越したキャリアプランを描くことが重要になるでしょう。
この記事では、女性が未経験からの転職をするためのコツと注意点を、世代別、立場別に紹介していきます。
目次
1. 女性が転職を考えるきっかけや理由は男性と違う?
2. 失敗しない!20代女性が転職に成功するコツと注意点
3. 失敗しない!30代女性が転職に成功するコツと注意点
4. 失敗しない!40代女性が転職に成功するコツと注意点
5. 失敗しない!50代女性が転職に成功するコツと注意点
6. 失敗しない!育児中の女性が転職に成功するコツと注意点
7. 女性が未経験から転職を成功させるために、重要なキャリアプランとは?
1. 女性が転職を考えるきっかけや理由は男性と違う?
女性が転職を考えるきっかけや理由としては、どのようなことがあるでしょうか。
まず考えられるのは、
- 「職場の人間関係」や「激務で体調を壊した」など、職場への不満
- 「新しいことに挑戦したい」など、キャリアアップをしたいという気持ち
などですが、これは男性が考える転職のきっかけと、そう変わらないですね。
しかし、女性特有ともいえる転職の理由やきっかけもあります。それは、「結婚」「妊娠・出産」「介護」などのライフイベントによるものです。
もちろん、男性もライフイベントによって、転職を選ぶことがあります。しかし、妊娠、出産は女性にしかできないことであり、身体的にも精神的にも女性にかなりの負担がかかります。また、出産後の育児についても、まだまだ女性の負担が大きいのが現状といわれています。20代から40代にかけての結婚、妊娠、出産、子育ての一連の流れは、男性よりも女性が転職を考える大きなきっかけになるといえ、50代以降になると育児は一段落しているという女性が増えますが、多くの場合、今度は親の介護という課題を抱えることになります。
このため、多くの働く女性は、様々なライフイベントに直面するたびに、働き方を見直したり、工夫したり、ときには退職、転職という道を選んでいます。
一方、女性を採用する企業の側も、女性のライフイベントによるライフステージの変化については、熟知しています。産休や育休、時間差出勤など、女性が働きやすい制度を用意している企業もありますが、そういった制度の整備が追いつかない企業の場合、女性の採用に際して、慎重になることがあります。
女性が転職を成功させるには、これらのことをよく理解して、転職活動に臨むことが大切といえるでしょう。
2. 失敗しない!20代女性が転職に成功するコツと注意点
女性の20代は、仕事もプライベートも全力投球できる貴重な時期といえます。
多くの女性が、仕事の面では「様々な業務を覚えて、活躍の場を広げていきたい」と考え、プライベートでは、恋愛や結婚が気になる人や、習い事や趣味で生活を充実させたいと望む人が増えるころです。一般的に、20代の時は多少欲張ってでも、自己投資に時間とお金をかけたほうがよいといわれていますから、まずは、人生を楽しむことに、集中したほうがよい時期といえるでしょう。
そんな20代女性の転職においては、採用側も即戦力というよりは、「うちの会社で長く働いてくれるか」「積極的に仕事を覚えてくれるか」といった点が重要視される傾向にあります。このため、この年代での未経験からの転職活動では、キャリアアップに対する「やる気」をアピールすることがおすすめです。
また、20代女性の転職先選びのポイントとしては、「今後起こりうるライフイベントを見越して、安定して働ける職場かどうかを見極めること」が挙げられます。これは、具体的にいうと「産休・育休制度が充実しているか」「ライフワークバランスが取りやすい職場かどうか」といったことになります。
産休・育休は制度としてはあっても、実際には出産後は復職が難しい職場や、復職ができても女性が出世することが慣例的に難しい職場もあります。できれば、転職を考えている会社において、実際に働いている女性の産休・育休の取得実績などを聞いておくと、転職に失敗するリスクを減らすことができるでしょう。
3. 失敗しない!30代女性が転職に成功するコツと注意点
女性の30代は、社会人経験も10年近くなり、そろそろ自分の腕試しがしてみたいと考える時期でもあります。多くの女性が、20代で磨いた自分の経験やスキルを思い切り仕事にぶつけているのではないでしょうか?
そんな30代女性の未経験からの転職活動においては、それまでの経験やスキルを活かし、さほど時間をかけずに即戦力になることができるという点をアピールすることで、新しい職種に挑戦することが可能でしょう。
30代女性の未経験からの転職では、結婚、妊娠、出産を「終えているか?」「これから予定しているか?」によって、活動のポイントが大きくかわります。
結婚や出産を終えているのであれば、大胆に未経験の職種に飛び込んでいくのも悪くはないでしょう。しかし、未婚で結婚を考えている場合、特に特定の相手がいて、結婚について具体的に話が進んでいる、もしくは、すでに結婚していて、いつ妊娠するかもわからないという段階での転職活動では、注意が必要です。
やはり、会社側としては、入社して間もなく、社員に結婚や妊娠といったライフイベントが起こってしまうと、おめでたいことだとは理解しつつも対応に困る、という現実があります。また、入社してすぐは、職場の同僚との信頼関係ができていない時期でもありますので、周囲の理解が得られず、結婚や妊娠後に、職場で働きにくくなってしまうという可能性も否定できません。
ただ、結婚や妊娠を控えているからといって、決して転職が不可能なわけではありません。この場合は、「結婚を控えている」「出産を考えている」ということを正直に話したうえで、「仕事はしっかりとやりたい」ことや、「仕事と家庭を両立し、今後入社する女性社員のモデルになりたい」ということをアピールすることがポイントになるでしょう。権利や条件面ばかりを主張するのではなく、自分のライフステージの変化への見通しと、それをふまえたキャリアプランをしっかりと示すことができれば、面接官の心象も良くなるのではないでしょうか。
4. 失敗しない!40代女性が転職に成功するコツと注意点
女性の40代は、既婚、未婚、子供の有無にかかわらず、ある程度今後の自分の人生の方向性を固めている時期といえます。
そんな40代女性が未経験からの転職活動を考えるなら、それまでの人生経験を生かしたキャリアプランを示すことが、転職を成功させるコツといえます。年齢的に未経験での転職は難しくなっているように思えますが、可能性は決して低いわけではありません。というのも、世の中には、人生経験の少ない若い人よりも人生経験が豊富な40代以降の人が歓迎される職種もたくさんあるからです。
例えば、介護職員や保育士などの福祉職、葬儀場スタッフや保険営業、不動産関連の仕事は、40代以降の女性におすすめの職種といえます。なぜなら、保育士は子育て経験のある主婦の方が仕事を覚えるのも早いですし、介護職は、実際に親が高齢になり、多少なりとも面倒を見た経験がある人のほうが、安心して仕事を任せることができるという利点があるからです。また、葬儀スタッフや保険営業、不動産関連の仕事は、若い人があまりなじみのない分野であり、実際にプライベートで、こういったライフイベントを経験している40代以降の女性の方が歓迎される傾向にあります。
このように、職種を厳選すれば、40代女性でも、未経験からの転職は、充分に可能といえるでしょう。ただし、40代の女性の場合、「合わなかったら、次へ」という方向転換はしづらくなることもあるでしょう。このため、20~30代の女性と比べると、更に具体的なキャリアプランを練ったうえで、転職活動に臨むことが必要になってきます。
ライフステージの変化が緩やかになってくるこの時期、残り20年近くある職業人生をどのように歩みたいのか、しっかりと自分に問いかけてみましょう。
5. 失敗しない!50代女性が転職に成功するコツと注意点
女性の50代は、様々なライフイベントをひととおり経験し、ライフステージの変化がひと段落する時期でもあります。この機会に、パートやアルバイトから正社員として働きたいと考える人も多いようです。
50代女性が未経験から転職、しかも正社員でと聞くと、「難しいのでは?」という印象を持つ人もいるでしょう。しかし決して不可能ということはありません。
50代女性におすすめしたい転職活動としては、女性の転職や40代以降からの転職に特化した転職サイトや転職エージェントを利用すること、が挙げられます。
雇用対策法の改正により、企業が求人をだすときに年齢制限を行うことが禁止されました。このため理論上は、たとえ何歳であっても、興味のある職種に応募をしてもよいわけですが、職種によっては、ある程度の年齢までに仕事に就いていないと「成長が見込めない」「仕事を長期間続けていくことが難しい」というものもあります。年齢制限がないからといって、手当たり次第に応募をしても、不採用が続く・・・という事態を防ぐためにも、事前にそういった情報を頭に入れておくとよいかもしれません。
しかし、40代以降からの転職に特化した転職サイトや転職エージェントであれば、そもそも、その年齢層の人を採用する意思のある企業の求人しか扱っていないわけですから、情報不足に悩むこともありません。また、正社員としてのブランクが長い方には、履歴書の書き方や面接のポイントなども教えてもらえるといったメリットがあります。
20~30代の女性が、結婚や妊娠、出産といったライフイベントにより、働き方に制約が出る中、50代女性は、まだまだ元気で体力もある方が多く、制約がなく働くことができる人が多いということから、積極的に採用しようと考える企業も増えつつあります。
50代女性の転職では、これまでの社会人経験や人生経験を活かし、即戦力として働くことができる職場を選ぶことが、成功のコツといえるかもしれません。
6. 失敗しない!育児中の女性が転職に成功するコツと注意点
では、いったん年齢の話から離れ、年代関係なく多くの女性が経験する、育児中の転職について、考えてみましょう。
育児中の女性が行う転職活動で、一番気をつけたい点としては「子供を理由にしない」ことが挙げられます。育児中は、子供の病気や学校行事、進学や就職のための準備など、親として十分に時間を割きたいことがたくさんあります。そして仕事よりも、そちらを優先したいと思うのは、親として当然の感情です。そして、それを当たり前のように実行に移すことができる寛容な社会が、望ましい社会といえるのかもしれません。ただ、現実問題、子供を理由に、当たり前のように遅刻・早退をする、仕事を遅らせる、といったことをすると、同僚や会社に迷惑をかけることになります。
「子供を理由にしない」ということは、決して、「仕事を最優先し、子供はその次にしましょう」ということではありません。「子供がいても、会社に貢献できる人材でいよう」ということです。育児中であっても、会社にプラスになる人材であれば、どこかに需要があるはずです。そのためには、育児中の女性の転職活動では、ある程度働き方が制約されることを前提にし、その上で自分のアピールポイントを磨いておくことが重要になります。
特に小さな子供の育児中は、女性自身も身体的にも精神的にも大変な時期が続きます。この時期に無理をしてしまうと、仕事に対するモチベーションが保てず、身体を壊してしまう可能性もあります。無理はせず、育児がひと段落したら、存分に会社に恩返しをする気持ちで、職場選びをしましょう。恩返しをするための力を貯めておくことができる、育児中の女性に優しい職場を選ぶことも大切なポイントです。
ちなみに、育児中の女性に優しい職場の特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 育休、産休制度が整っている
- 時短制度や育児休暇などが整備されている
- お互いの力を補完しあえるチームプレーができている
こうしてみると、同じ経験をした先輩女性が活躍している職場が、よいのかもしれませんね。
7. 女性が未経験から転職を成功させるために、重要なキャリアプランとは?
今回の記事において、何度かキャリアプランという言葉が登場しました、
キャリアとは、経験や経歴などが、断片的ではなく連続性を伴って形成されていくものとされています。そして、キャリアプランとは、自分自身の連続したキャリアをつなぎ合わせた結果、将来的にどのようになりたいかを示すものといえるでしょう。
何度も言いましたが、女性の転職においては、年齢を重ねるほどに、キャリアプランをしっかりと描くことが、成功か否かの大切なポイントになります。転職を考えている人は、次の手順を参考に、自身のキャリアプランを立ててみましょう。
自分自身の棚卸しをする
まず、自分自身と向き合い、「どんな仕事が好きなのか」「自分にはどんなスキルがあるのか」「活かせる資格はあるのか」といったことを整理し、書き出してみましょう。
長期的なキャリアプランを考える
「将来どういう状態でいたいのか」を考えましょう。これが、将来のゴール地点、すなわち長期的なキャリアプランとなります。
短期的なキャリアプランを立てる
長期的なキャリアプランを実現するために、ライフステージごとの目標や行動を設定しましょう。
特に女性の場合、キャリアプランは、ライフステージの変化と密接な関係を持っています。例えば長期的なキャリアプランが、「将来は在宅で働きたい。」であれば、短期的なキャリアプランは、「20代は社内で経験を積む」「20代後半から30代前半で結婚し、在宅勤務ができるようにコネを作る」「30代で出産、それを機に在宅勤務に切り替えてもらう」という具合になります。
しかし、ライフイベントは、希望通りの時期にやってくるものではありません。キャリアプランは定期的に見直し、そのときどきの状態に応じて柔軟に変更していきましょう。
しっかりとキャリアプランを描くことは、面接でも有利に働きます。たとえ、ライフイベントでキャリアを中断する可能性があっても、その時どのように働くのか、その後どうやって働いていくのかを明確に示すことができれば、未経験からの転職でも、成功する可能性が、より高くなるのではないでしょうか。
おわりに
女性にとって、様々なライフイベントが、キャリアをストップさせる大きな壁となることもあるかもしれません。ですが、人生を考えるならば、それぞれのライフイベントは、とても価値のあることであり、それが仕事面でもプラスになる可能性は充分にあります。
女性がいくつになっても、活き活きと働き続けるために、この記事で紹介した内容が役立てば幸いです。
LIMO編集部