目次
1. キャリアとは
この記事を読まれているビジネスパーソンの皆さんは「キャリア」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。ただ、「キャリア」がどういう意味なのかと改めて問われると、経歴や現在の仕事、出世のように、人それぞれのイメージがあるかと思います。
厚生労働省が発表した「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書のキャリア形成の意義によると、『「キャリア」とは、「経歴」「経験」「発展」「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし持続性を持った概念』とあります。
つまりキャリアとは、今の仕事のことだけでなく、継続したプロセスの積み重ねで作っていくもの、といえます。それは自分がどんなビジネスパーソンになっていきたいのかを考えることであり、自分の人生全体を設計することでもあるといえるでしょう。
2. キャリアアップとは何か、なぜキャリアアップが必要なのか
キャリアアップという言葉も一般的になりました。聞いたことがない方はいないでしょう。では、何のためにキャリアアップをしようとするのでしょうか。前の章にあるように、キャリアが自分の人生設計だとしたら、キャリアアップはどう考えれば良いでしょうか。
キャリアの市場価値とは
キャリアには「市場価値」が存在します。つまり、Aのような技能とBのような経験がある人は市場価値が高くなる、そのような考え方です。今の時代で言えば、「AIに関わる技能」と、「AIの最先端企業で働いていた経験」がある、と言い換えると分かりやすいかもしれません。
ご存じの通り、高学歴であるというのも市場価値が高くなる1つの要因です。ただ、先の章でも出ているように、キャリアは「時間的持続性」によって形成されていくので、高学歴であるというだけでは市場価値を維持し続けることはできません。
逆もしかりで、入社当時は良く出来る同期と比べられてきたあなたも、「時間的継続性」によるキャリア形成を意識することによって、市場価値を上げていけるかもしれないのです。
「優秀な同期とはもう差がついちゃって、あの人よりも上に行くのは無理だよ…」という状況も、企業によっては実際にある話だと思います。ただ、それはあなたの社内での話であって、市場での価値はまた別のものである場合も多いのです。
あなたが今から市場価値を意識してスキルアップをしながら転職や起業を選択した時、5年後に「絶対に追いつけない」と思っていた同期よりも年収が高くなっている、そんな話もめずらしくはないのです。
キャリアアップとはキャリアの市場価値を上げること
キャリアアップとはつまり、あなたのキャリアの市場価値を上げることなのです。そのために、資格を取ったり、講習を受けたりしてスキルを高めるわけですが、ただやみくもに資格を取ればいいというわけではありません。
自分の市場価値が今どのくらいかを正しく知った上で、それをどの状態にしたいから何を勉強する、というように考えることがキャリアアップのための近道といえます。そしてそういう意識を常に持って、キャリアを「継続的に」形成していくことが、大切なのです。
キャリアアップで最も重要なのは、市場価値において自身のキャリアにどのような価値があるのかを知ることです。昨今ではインターネットのQ&Aサイトで聞いたり、既にある情報から調べることができたり、便利な方法も色々ありますが、最も良い手段といわれるのは、転職エージェントに相談することです。
ヘッドハンターの使い方
転職エージェントは市場価値の最新情報を持っており、さらにあなたのキャリアに対して、最も高く売れそうな長所を探し出してアドバイスをくれます。転職エージェントは、転職したいと思っている人だけでなく、相談だけでも応じてくれるところも多いので、ぜひ一度自分に合ったエージェントを探してみてはいかがでしょうか。
自治体によっては、キャリアアップ講習などを行っているところもあります。(東京都ではTOKYO働くネットなど※参考) 自分に合ったキャリアアップの方法を選び、まずは行動してみることが大切です。
参考:キャリアアップ講習 | TOKYOはたらくネット
https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/school/carr_up/index.html
3. キャリアアップとスキルアップの違い
キャリアアップとスキルアップの違い、改めて聞かれると何となく同じようなイメージで使っていた、という方もいらっしゃるかもしれません。ですが、この2つには明確な違いがあります。
キャリアアップのおさらいをしますと、キャリアアップは、あなたのキャリアの市場価値を高めることでした。では、スキルアップとはなんでしょうか。スキルアップとは、ある技能やスキルを高めることです。
技能やスキルとは、通常の場合は何か訓練を通じて身につけた能力のことをいいます。つまりスキルアップとは、その「能力」や「技能」を高めるために何かをすることを指しています。幅広くスキルや技能を身につけたいという方もいれば、専門的なスキルや技術を掘り下げて身につける方法もあります。
そして、スキルアップは、キャリアアップのための手段の1つにもなり得ます。自分のキャリア全体を考えた時に、ここでこのスキルを高めておいた方が良い、という選択もあるためです。ただ、必ずしもスキルアップがキャリアアップのためにあるかというと、そうではありません。専門的なスキルを高めることで、市場価値は高くなくとも、自分の好きな仕事を選択するという方法もあるためです。
あなたがしたいのはキャリアアップでしょうか、スキルアップでしょうか。
4. キャリアプランとは
キャリアプランについて考えたことはありますか? ここまで読んでくださった皆さんは、キャリアがどんなものかはもうわかっているかと思います。キャリアプランとは、それらのキャリアを繋げて計画(プラン)を立てることをいいます。
人生設計とキャリアプランの関係
キャリアプランには、短いものも長いものもあります。短いものだと数年間のプランを、長いものだと社会人になってから仕事ができなくなるまでの壮大なプランを考えることもできます。
「仕事ができなくなる」というのは、今勤めている企業の定年退職とは限りません。定年退職後に起業して新たな仕事を始めているかもしれません。あなたが仕事でどんな風になっていきたいか、そしてどんな風に終えたいか、そのような目標に向かって立てる計画をキャリアプランといいます。
そしてほとんどのビジネスパーソンが、仕事だけでなく他にもライフイベントを抱えながら生きています。育児や介護、家族との死別などによる資産の変動などもあるでしょう。そのようなことを考えながら、自分のキャリアプラン(働き方の計画)を立てる必要があります。
昨今では、社員のためにキャリアプランを考えてくれる企業も増えています。しかしそのような会社ばかりではありません。また、会社が十数年後に必ず安泰なのかは、経営者にも明確にいえることではありません。そのような中、常に市場における自分の価値を意識し続けてキャリアプランを持っておくことは、あなたの人生設計のために必要なことだともいえるのです。
女性とライフプラン
特に女性は、ライフプランに影響される傾向が強いといわれます。出産や育児、介護なども、まだまだ女性のほうに負担が伴う家庭も少なくないでしょう。お仕事が好きな方も、できるだけ楽に働きたい方も、ちょうどいい働き方をしたい方も、ライフプランは働くビジネスパーソンすべてに必要だといえます。
数年、数十年先を見越してプランを立てることで、自分が思うような人生を送ることができるかもしれません。
5. キャリアプランの描きかた
いざ「キャリアプランを描きましょう!」と言われると、頭が真っ白…。そんな方もいらっしゃるかもしれませんね。これからいくつかの簡単なことを整理して、あなたのキャリアプランを一緒に考えてみましょう。
参考にするのは過去の経験でも、自分がまだやった経験はないけれどやってみたいことでも構いません。大切なのは、あなたの志向を知り、そこに強みを持たせていくことです。
キャリアプランを描くためのヒントとステップ
自分の理想を知る
- 本当はどんな仕事がしたいか?
- 将来どんな人(状態)でいたいか?
- 人の上に立ちたいか?
自分が何に喜びを感じるか、価値を感じるかを知る
- 自分はどんな性格か?(安定志向か、リスクもOKか)
- 給与よりも挑戦をとれるか?(これは年齢で区切ることも可)
- 仕事で褒められて嬉しかったことは何か?
自分のスキル、自分ができること、得意なこと
・自分は何ができるか?
・自分はどのようなことが得意か?
・人からどのような点でよく評価されるか?
これらを整理したら、年齢・年代などで積み上げるように考えてみます。たとえば、20代では給与が安くても、40代で高い年収に持っていくための経験をたくさんさせてくれるような企業を選んで就職したり、時間とお金を使ったスキルアップや転職などを計画する、というようなイメージです。
育児のために時短で働きたいという強い要望があるとしたら、今から社内で在宅勤務を働きかけてみる、などのように逆算して計画するのもおすすめです。
柔軟性とキャリアプランの関係
キャリアプランは、恐らくほとんどの方が1回立てて終わりにはなりません。数年おきに、「やってみたら意外とこういうことのほうが好きだった」「人にはこちらが評価される」などの情報が増えていきます。それらをもとに自分のキャリアプランの棚卸しをしてみましょう。
意外とよくあるのが、年齢とともに「自分が好きなことよりも人から評価されることを選択」するようになり、周りからの評価が上がって、キャリアも自然とアップしたという状態になったりもします。
もちろん給与が低くても、とにかく好きなことを極めるのも1つの選択です。大切なのは、自分の志向と、社内や市場からの評価を知り、それによって自分がどのような選択をするか、それを繰り返す機会を増やすということです。
定期的にキャリアプランを見直そう
定期的にキャリアプランを見直すことで、自分の志向、社内や市場における自分の価値も棚卸しすることができ、描いたキャリアプランの中で、今の自分に足りないものが何かを常に意識することもできます。それによって、必然的に自分のキャリアやキャリアプランを調整することができるでしょう。
キャリアプランを描くことの一番のメリットは、なりたい自分になるための選択の機会を増やすことによって、本当になりたい自分に近づいていけることではないかと思います。
6. キャリアプランを面接で活かすには
キャリアプランを立てることで、普段何気なく生活しているだけでは意識できない、長期的な思考が身についてきます。短期的にも長期的にも目標が定まることで仕事のモチベーションもあがり、現在やることが明確になってくる方もいるでしょう。また、自分に今何が足りないのかを正しく自覚している状態になることもとても大切です。
面接時の質問では、将来どうなりたい、どうありたいのか?というような質問も多く聞かれますが、キャリアプランを常に意識していれば、どうしてその企業を選んだのかも明確な答えがあるはずです。
その企業で一定の成果を上げることがあなたのキャリアプランとも合致する場合、どのようにその成果を上げるつもりなのかを具体的にアピールすることで、入社してから活躍する様子を企業側にイメージしてもらうことができるでしょう。
また、今の自分に足りないと思っている知識やスキルがあることを自覚していることも正直に伝え、その知識やスキルを今後どのように習得していくつもりなのかを話すことも1つのテクニックです。その企業で経験できることであれ、その企業ではまだ誰も経験していないものであれ、意欲的な姿は好印象に映ることでしょう。
ライフプランを立てることで、結果的にあれこれと自分の欲求や理想について自己分析をし、今の自分に足りないことを自覚するようになります。それによって、面接官から飛んでくる全方位的な質問にも、筋道を立て、自信をもって返答できるようになることもライフプランを立てるメリットといえるでしょう。
7. まとめ
いかがでしたか。キャリアとは、社内だけで考えると逆に見えづらいものなのかもしれませんね。そして、よくある誤解は、キャリアについて考えるのは正社員だけ、というものです。でも実はそうではありません。アルバイトだから、パートタイム勤務だから、派遣だから、契約社員だから、学歴が…。そう考えてキャリアを作らない選択をしていませんか。
キャリアとは、長い時間をかけてあなた自身が積み上げていくものなのです。
キャリアとは、自分の考え方や心がけ次第でこれからいくらでも変えていけるものなのです。
まずは10年後のあなたのためのキャリアプランを描いてみませんか。
LIMO編集部