7月26日に厚生労働省が公表した「令和5年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳と男女ともに寿命が延びています。

人生100年時代になりつつある現代では、ご家族と相続の話をする機会もあるかもしれません。

【写真1枚目/全2枚】日本の平均余命。次ページで「預貯金の払い戻し制度」を解説

主な年齢の平均余命 図表

出所:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」

中には、「役所に死亡届を出すと銀行口座が凍結される」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。

この記事では、死亡後に銀行口座が凍結されるタイミングや凍結前に預金を引き出すリスクについて、元銀行員の筆者が解説します。

1. 役所に死亡届を出したら銀行の口座は凍結される?

結論から言うと、死亡届を役所に届けても銀行口座は凍結されません。

銀行は、口座の名義人が亡くなったことを知ると、その時点で預金口座を凍結します。

しかし、死亡届を役所に提出した時点で口座が凍結されるわけではありません。口座が凍結されるのは、親族が銀行に連絡し、名義人の死亡を伝えた時点からです。

頻度としては少ないですが、銀行の担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀が行われたことを知ったりして、銀行側から親族に確認を取ったうえで口座を凍結する場合もあります。

また、銀行間で名義人の死亡に関する情報が共有されることはありません。このため、亡くなった人が保有していたすべての銀行に届け出をする必要があります。ただし、同じ銀行の複数の支店で取引があった場合には、一度届け出をすればすべての支店の預金口座が凍結されます。

基本的に、銀行に届け出をしなければ口座は使える状態となっているため、届け出を出す前に口座から現金を引き出す、ということは可能です。

しかし、口座凍結の前に本人以外が現金を引き出すのはいくつかリスクがあります。