1. そもそも在職老齢年金とは?

まずは、今回見直しが検討されている「在職老齢年金」とはどのような制度なのか確認していきましょう。

冒頭でもお伝えしたように「在職老齢年金」とは、厚生年金に加入している人が、老後に年金を受け取りながら働く場合、年金の一部または全額が支給停止になる制度を指します。

支給停止のボーダーラインとなる基準額を「支給停止調整額」といい、労働収入と年収の合計額が基準額を超えた場合は、年金額がカットされるのです。

カットされる年金額の具体的な計算方法は下記のとおりです。

在職老齢年金による調整後の年金支給月額=基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)÷2

「基本月額」とは、加給年金額を除いた厚生年金の月額を指し、「総報酬月額相当額」は、直近1年の標準賞与額の12分の1の額を指します。

現行の制度では「基本月額」と「総報酬月額相当額」が高くなればなるほど、年金がカットされていく仕組みになっていますが、具体的にどのくらい働いたら、いくら年金額がカットされるのでしょうか。

次章にて詳しく確認していきましょう。

2. 2024年度から支給停止調整額が「50万円」に引き上げに

2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額は「50万円」となっており、年金と労働収入の年間合計が50万円を超えた場合、年金が一部または全額カットされます。

2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額

2024年度の在職老齢年金の支給停止調整額

出所:厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」

なお、2023年度の支給停止調整額は48万円でした。

そのため、昨年と比較して年金支給停止までの猶予額が2万円増加したことになります。

上記をふまえ、在職老齢年金により年金額がカットされるかどうかのフローチャートは下記のとおりです。