4. 高まる社会保険料の負担…FPの見解
国民健康保険料の上限額引き上げは、2022年から3年連続となります。
引き上げ要因のひとつに「少子高齢化」があります。
特に高齢者人口の増加により、医療給付費用が増加しており現状の保険料収入で補うことが難しくなってきているからです。
実際、総務省統計局によると日本の総人口は年々減少している一方、65歳以上の高齢者人口は増加しています。
今後ますます「少子高齢化」が進んでいくことからも、健康保険料を含む社会保険料も引き上げられる可能性は高いです。
とはいっても、国民健康保険料の上限引き上げに影響を受けるのは一部の高所得者になります。
気を付けなければいけないのは、会社員から自営業・フリーランスに切り替わる人です。
勤務先で加入していた健康保険から国民健康保険に切り替えることで、保険料負担額が増加する可能性があります。
これは会社員の方は労使折半により自己負担が半分になっていますが、国民健康保険では全額自己負担になるからです。
お住まいの自治体によっては軽減や減免などの制度もあるでしょう。
ご自身の状況に応じて使える制度を上手に活用していくことも必要です。
5. まとめにかえて
国民健康保険をはじめとした国民皆保険は、医療費の負担を軽減してくれる制度です。
しかし、その保険料を負担に感じる人も多いでしょう。特にあまり病院にかかる機会がない方は、「医療費を10割負担するから保険料を払いたくない」と感じるかもしれません。
しかし、年齢とともに病気のリスクは高まるものです。保険料を意図的に未納扱いにすると、督促料や延滞金も加算されてしまいます。
万が一の備えと考えて確実に納付しましょう。
保険料に関しては、家計の見直しなどで支払いが継続できる状況をつくることが大切です。
参考資料
奥田 朝
執筆者
大阪府大阪市出身。関西学院大学総合政策学部卒。大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社。個人・法人顧客に対しての新規開拓・コンサルティング営業に従事。生命保険販売を通じ、FPとして若年層から富裕層までの幅広い層のお客様への相談経験をもつ。ライフスタイルに合った保障と資産運用のバランスの良い持ち方のアドバイスを強みとする。現在は個人向け資産運用会社にて、資産運用のサポート業務をおこなう。一種外務員資格(証券外務員一種)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、AFP(Affiliated Financial Planner)を保有。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年9月4日更新)