8月に入り、長期休暇を取られる方も多いでしょう。

ファイナンシャルアドバイザーとして多くの相談を受けている筆者も、日々色々な世代の方とお話しをしていますが、夏休みを楽しみにされている方が多いと感じます。

特に、お子さんやお孫さんが帰省を予定されているシニア世代の方にとっては楽しみな季節でしょう。

一方で、帰省される方を迎え入れると出費はかさみます。年金暮らしをされている場合には「貯金を取り崩す予定」があるなど、負担は大きいようです。

年金生活者といえば、この6月21日に行われた記者会見で、物価高の支援策として一部の世帯に向けた追加給付金の検討が発表されました。

年金受給者が対象世帯となっていることからも、年金だけで暮らす世帯の家計が苦しいことがうかがえます。

とはいえ、実際に年金受給世帯にいくらくらいの収入があるかご存知の方は少ないでしょう。

そこで今回は、いくらくらい受け取っていても生活が苦しいのか、実際の受給額を年代別に確認してシニア世代のお金事情を考察していきます。

1. 国民年金・厚生年金のしくみ

公的年金制度は国民年金と厚生年金の「2階建て構造」といわれています。

【写真9枚】1枚目/日本の年金制度のしくみ、2枚目/年金受給額を「一覧表」でチェック!

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

国民年金と厚生年金のそれぞれの特徴を確認していきましょう。

1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)

  • 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
  • 保険料は一律(年度ごとに改定あり)※2024年度は月額1万6980円
  • 保険料の納付期間に応じて将来もらえる年金額が決まる※2024年度の満額は月額6万8000円

1.2 厚生年金(2階部分)

  • 公務員やサラリーマンなどが国民年金に上乗せして加入する
  • 毎月の給与や賞与などの報酬に応じた保険料を支払う(上限あり)
  • 加入期間や保険料の納付額に応じて計算され、国民年金に上乗せして支給される

日本の公的年金制度は「国民皆年金」であり、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が「国民年金」に加入する義務があり、厚生年金は主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。

では、現代のシニアは年金をどれほど受給しているでしょうか。

厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)の平均月額を確認しましょう。まずは60歳代~80歳代までの年齢別で見ていきます。