3. 中小企業への支援も。最低賃金とともに考えたい「年収の壁」

10月以降の最低賃金アップにより、自身の賃金が上がる可能性もあるでしょう。

しかし、年収の壁を意識して働くパートや中小企業にとっては、必ずしも喜びの声ばかりが上がるわけではありません。

扶養内でパートをしている人には、年収103万円、106万円、130万円など「月(年)での給与の上限額」があり、これを超えると自身や配偶者の税金・社会保険料が上がることになります。

つまり、世帯の手取り額が減少するという逆転現象が起こってしまうのです。

こうした「年収の壁」がある以上、もし時給があがると今度は、勤務時間や勤務日数を調整することになってしまいます。

一方、昨年は最低賃金改定で初めて1000円を超えたこともあり、「年収の壁・支援強化パッケージ」が始まりました。

短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援することが目的で、助成金を支給したり被扶養のままとどまれたりするとしています。

106万円の壁・130万円の壁への対応策

106万円の壁・130万円の壁への対応策

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

  • 106万円の壁の対応:手取り収入を減らさない取組を行う企業に対し、労働者一人当たり最大50万円を支給します。
  • 130万円の壁への対応:収入が一時的に上がっても、事業所の証明により引き続き被扶養者認定が可能となるよう配慮します。

社会保険料の負担が増えるのはパート本人だけでなく、企業も同じです。

体力の少ない中小企業などは、政府の助成なども活用しながら工夫した対策が求められていくでしょう。