はじめに
ビジネスパーソンとして仕事ができる人になりたいと考えているなら、上手に根回しをできるようになっておくと大きな力になります。
では根回しをするは一体どのような行動を起こしたら良いのでしょうか。仕事をする上で効果的な根回しの方法や考え方を、ごますりやコンセンサスとの関係についても考慮しながら解説していきましょう。
目次
1. 根回しの語源や意味とは
2. ビジネスにおける根回しの意味や内容とは
3. 根回しが得意な人はどんな人か
4. 根回しとごますりについて比較しよう
5. 根回しとコンセンサスを比較しよう
6. 根回しが出世につながる
7. 上手に根回しするために必要な行動とは
1. 根回しの語源や意味とは
まず最初に理解しておきたいのが根回しの意味や語源です。ビジネスパーソンが根回しという言葉を使うときには、「会議や交渉を円滑に進められるようにするために、事前に関係者と相談するなどして手を打っておく」ことを指しています。
具体例としてはある議題についての会議を行うときに、予め関係者に内諾を得ておくことで会議の際に細かな議論をせずとも承認に持ち込めるようにしておくことなどがあげられます。しばしば出世や昇進をするために十分な根回しをした上で大舞台に挑むということがあるため、あまり良い意味では使われないことも多くあります。
根回しはもともと造園用語で、樹木を移植したときに根付きやすくするための作業を示していました。移植の一年から二年前からだんだんと樹木の周囲を掘って根を切り詰めておくという手法で、この作業をしておくと最根が発達して根付きが良くなるということが知られています。
もともと造園業を営んでいる人にとっての根回しとは上手に移植を行うための作業である言葉でしたが、ビジネス用語としては事前に必要になり得る手配をした上で重要な舞台に臨むという形の言葉に変遷していったのでしょう。
2. ビジネスにおける根回しの意味や内容とは
ビジネスにおける根回しの意味や内容について、より深く考察してみましょう。
大きな提案をして事業を展開していく際にはまず根回しをして、そこで十分に懸案事項について練って十分に重役が納得できる内容にしてから会議にかけたり、社外交渉に持っていったりするという形になるのが一般的です。
また決済や稟議を行うときにも予め重役や関連する人に根回しをしておくのが基本になります。自分の立場や役職が上になっていくにつれてより根回しの必要性は高まります。
ビジネスにおいて根回しをしなかった場合はどうなるでしょうか。例えば根回しをせずに会議に臨んだ場合、承認が得られなかったら全てやり直しになってしまい、もう一度参加者の都合を全て合わせなければなりません。
効率良くビジネスを進めていくためには個々に根回しをしておき、重役が集まった現場では基本的な内容の確認を経て速やかに承認されるようにするのが常套手段となっています。
3. 根回しが得意な人はどんな人か
根回しを上手に行うにはそれなりの努力は必要ですが、もともと根回しが上手になりやすい人もいます。
コミュニケーション能力が高い人は大きなアドバンテージに
根回しの得手不得手を大きく左右するのがコミュニケーション能力の高さです。
根回しの基本は相手の立場や考え方を正しく理解した上で、自分の意見をわかりやすく端的に伝えて納得してもらうことなので、自分の意見をしっかりと伝えられる能力があることも重要ですが、相手が何を求めているかを正しく理解して、それに合った対応をするスキルも求められます。
そのため総合的なコミュニケーション能力が高いと、大きなアドバンテージになります。
世渡り上手は根回し上手
また、世渡り上手な人も根回しをするのが得意な傾向があります。
世渡り上手な人は先回りをして周りの人間を味方につけておき、自分が考えているように物事を進められるスキルをもっており、それを行えるだけの行動力も根回しを十分に行うためには欠かせない要素です。
ただ、コミュニケーション能力の高さや世渡り上手という部分はあくまで条件の一つであり、そのスキルを最大限に活用して自分の立場を有利にできるように考えて行動に起こせる力があるのが根回しが得意な人に共通しているところです。
4. 根回しとごますりについて比較しよう
根回しはしばしば悪い意味合いでも使われてしまうため、ごますりと同じようなものではないかと考える人もいますが、この二つは物事を円滑に進められるようにするために事前に手を打っておくという意味では類似していますが、実際の内容や目的は異なっているので注意が必要です。
根回しは相手への思いやりの心
根回しはビジネス上で使うときには基本的には会議や交渉を円滑に進めるための基本準備になります。
根回しをしておかないと会議や交渉に時間がかかり、重役などの多忙な人たちを長時間拘束したり、多大な労力をかけてしまうことになりかねませんので、自分が根回しをしておくことによってその負担を軽減できるというスタンスで行うものなので、思いやりの精神から行うものだといえるでしょう。
ごますりは私利私欲の意味合いが強い
それに対してごますりの目的は自分が気に入られるようにすることというのが基本です。
自分が出世したり昇進したりする上で利益を与えてくれそうな人に有利になるように手を回すというのが基本になりますので、全体の利益を考えて事前準備を行っているわけではなく、私利私欲のために行うという意味合いが強いのがごますりです。
他者に対して用いるときには根回しと違って非難する意味でも用いられる言葉なので注意しましょう。
5. 根回しとコンセンサスを比較しよう
ビジネス用語としてコンセンサスという言葉もよく用いられるようになりました。
これも会議や交渉などで速やかに承諾を得られるようにするために行うものとしてよく知られていますが、コンセンサスと根回しは完全に一致するわけではありません。
コンセンサスの基本的な意味は複数人による合意を得ること、あるいは複数人の意見を一致させることを示します。
「会議をする前にコンセンサスを取ってくる」というのがビジネスシーンではよくある言いまわしです。これは根回しとほぼ同義になっていて、予め承認に関わるような関係者たちにコンタクトを取って内容の確認をしてもらい、その内容で良いという承諾を受けておく行為を指します。
一方、「このルールについてコンセンサスを形成する必要がある」という使い方もありますが、この場合には必ずしも根回しをするとは限りません。ルールを各々が見て確かに納得したという事実さえ作れれば構わないため、特定の人が根回しをする必要は必ずしもないというのが違いです。
あくまで複数の関係者が全員一致で内容に対して納得した状態を作り出すことをコンセンサスというと考えておくと根回しとは区別ができるでしょう。
6. 根回しが出世につながる
根回しは将来的に出世したいという人にとってぜひ身に着けたいビジネススキルです。出世をしていくと、だんだんと大きなプロジェクトに関わるようになったり、その企画立案なども担うようになるのが一般的で、事業方針などに意見する機会も与えられるようになります。
その決議は重役を交えた会議で行うことになりますが、初見の状態で全員にプレゼンテーションをして内容を示したとしても、それぞれの考え方が衝突し合ってしまい、収拾が付かなくなることも多いでしょう。
そのため根回しとして事前に関係者に内容を連絡しておき、提案や不満について意見を集めて十分に内容を練っておきましょう。そして、十分に練り直した内容でコンセンサスを得た上で会議に臨むという形を取るのがデキるビジネスパーソンのやり方です。
全員の理解を得るのが難しい場合は、賛成派の人を確認して会議で肯定意見を出してくれるように依頼しておくだけでも根回しになります。
根回しの事前連絡の際は電話やメールを通して返答を依頼するだけでも十分なこともありますが、食事に誘うなど一対一になれる機会を作ってお願いするという形を取る場合もあります。
7. 上手に根回しするために必要な行動とは
根回しは主に「情報収集」と「コミュニケーション」によって成り立っています。
社内に味方を作ろう
まずは社内で影響力がある人や意思決定権のある人などと積極的にコミュニケーションを取って円満な関係を築き上げておき、味方になってくれるように取り計らっておくと、いざというときに賛成派になってくれる可能性が高まります。
コミュニケーションについては特定の重役だけでなく、できる限り広く取っておくのが大切です。重役だけに目を付けているとごますりだと理解されてしまいかねないからです。そして、これから重要な案件を提案するという場面が来たら、その案件に関して影響力がある人や社内評価が高い人も含めて根回しをした上で打ち合わせに臨むようにすれば良いということになります。
社内のネットワークを広げておこう
このときに誰に根回しするかを判断できるようにするためには情報収集が欠かせません。
誰がどの分野で強い力を持っているのかを常に把握し、自分に任せられた案件に応じて適切な人を選んで根回しをするようにしましょう。社内でのネットワークを広げておけば、いつでもベストなタイミングで根回しをすることができます。
おわりに
ビジネスパーソンにとっての根回しは私利私欲のためではなく、会議や交渉を円滑に進めて全体の利益を高められるようにするための事前準備ということがわかりました。
根回しを上手に行って出世への道を拡げることが、ビジネスパーソンにとって重要な課題の一つではないでしょうか。
地位や立場が高くなるにつれて根回しをする機会も増えます。コミュニケーション能力を中心とした根回し力を鍛えておき、チャンスを逃さずに出世への道をつかみ取りましょう。
LIMO編集部