2024年も半分が経過し、物価上昇や光熱費の高騰、生活必需品の値上げなど生活費の負担を感じる人は少なくないでしょう。
それでなくとも昨今は年金不安を煽るようなニュースが流れ、年金制度に対する不信感や不安を抱える方もいるのではないでしょうか。
公的年金はリタイア後の生活を支える柱となる収入。できるだけ多く受給できたほうが安心感を得られますが、厚生年金を月額20万円以上もらえる人はどの程度いるのでしょうか。
今回は、厚生年金を月額20万円以上もらえる人の割合や、リタイア後の生活に向けた準備方法などを解説します。
1. 年金制度に期待していない人の割合が7割超
We Capital株式会社が行った調査によると「将来、受け取ることのできる年金にどのくらい期待していますか?」という質問に対して「期待していない」という回答の割合を合計すると約8割となりました。
調査概要は下記のとおりです。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:調査回答時に20代~50代男女と回答した全国のモニター
- アンケート母数:1005件
- 実施日:2024年4月4日(木)~2024年4月5日(金)
- リリース公開日:2024年5月7日
【写真全4枚中1枚目】「将来、受け取る年金にどのくらい期待していますか」の回答結果。2枚目以降では、厚生年金の月額別人数などを掲載。1/4
出所:We Capital株式会社「【あなたはどっち?】「未来のお金」or「今のお金」約2人に1人は老後資金の準備を始めている!今すぐできる資産運用とは?」(PRTIMES)
1.1 【意識調査】「将来、受け取る年金にどのくらい期待していますか」の回答割合
- とても期待している:6.5%
- ある程度期待している:15.9%
- あまり期待していない:42.1%
- 全く期待していない:35.5%
期待していない人から寄せられている、具体的な声の一部を紹介します。
- 今後世代間の人口のバランスが変わっていくなかで、現行の年金システムで財政が破綻しないのか。破綻するならば早めに教えて欲しい。
- 生活が豊かになるほど年金が引き上げられるとは思えません。それを想定して若いうちから資産形成する人に対して、将来、資産があるから年金減額といった構図にはならないでほしいです。
出所:We Capital株式会社「【あなたはどっち?】「未来のお金」or「今のお金」約2人に1人は老後資金の準備を始めている!今すぐできる資産運用とは?」
少子高齢化の進展に伴う人口バランスの変化を憂慮して「自分は将来、豊かな老後生活を送れるのか」という潜在的な不安を抱えているようです。
次の章では、厚生年金を月額20万円以上もらえる人の割合を確認していきましょう。
2. 厚生年金を月額20万円以上もらえる人の割合は?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を月額20万円受給できる人の割合は約14.8%でした(年金月額が20万円以上の人数を合算し、総数で除して算出)。
2.1 【厚生年金】月額20万円以上受給する受給者数(1万円刻み)
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
※国民年金部分を含む
2.2 【厚生年金】全体・男女別の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
〈男性〉平均年金月額:16万3875円
〈女性〉平均年金月額:10万4878円
受け取れる厚生年金額は、加入している期間の平均標準報酬額と加入月数で決まります。
現役時代の収入が多い方ほど納付する保険料が増えますが、受け取れる年金額も増える仕組みです。
統計データを見ると、多くの方は受け取っている厚生年金額が20万円未満。
「毎月20万円以上のお金が必要」と考えている方は、プラスアルファとして自力で資産形成を行う必要があります。
次の章では、公的年金だけで生活できるか不安という方に検討してもらいたい手段を解説していきます。
3. 豊かな老後生活を送るために有効活用すべき制度
公的年金だけで生活できるか不安という方は、自助努力で資産形成を行う必要があります。
以下で、有効活用すべき制度を解説するので、参考にしてみてください。
3.1 iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは加入者が現役の頃に掛金を拠出し、運用しながら老後資金を用意する制度です。
「年金」という名称があるように、私的年金の一つなので原則として60歳まで引き出せません。老後資金を用意するのに特化している制度といえるでしょう。
iDeCoのメリットは税制優遇がある点です。運用益は非課税で、拠出した掛金は全額所得控除の対象となります。節税しながら将来に向けた資産形成を行えます。
60歳以降になり給付金を受け取る際にも、年金として受け取る場合は公的年金控除、一時金として受け取る場合は退職所得控除を受けられます。
受取時にある程度課税される可能性はありますが、計画的にコツコツと資産形成するうえで有用な制度です。
3.2 NISA
NISAとは、一定額まで非課税で投資できる制度です。2024年から新NISAが始まり、年間で360万円まで非課税投資を行える枠組みとなりました。
制度全体では1800万円まで非課税投資を行えます。iDeCoの最低拠出金額は月5000円ですが、NISAの場合は金融機関によっては100円から行えます。
税制優遇だけでなく、少額から始めやすい点もNISAのメリットです。
3.3 年金の繰り下げ受給
iDeCoとNISAで資産形成を行うことは大切ですが、終身にわたって受け取れる公的年金額を増やすことも検討しましょう。
繰り下げ受給を行えば、65歳時点で受け取れる年金額に対して1ヶ月あたり0.7%増額された年金を一生涯受け取れます。
つまり、70歳で受給開始すれば42%増額された年金を受け取れます。
現行制度では75歳まで繰り下げ受給できるため、最大で84%増額した年金を受け取ることが可能です。
ただし、繰り下げ期間中は年金を受け取れません。働いて勤労収入を得たり、iDeCoやNISAで運用した資産を受け取ったりする方法で生活を支える必要があります。
4. まとめ:年金世帯への給付金も検討されるが、自助努力が重要
6月21日の岸田総理の記者会見では「低所得世帯」や「年金世帯」へ追加給付金の支給を検討すると公表。
記者会見では「デフレからの脱却」のために賃上げの反映や定額減税による所得増加に期待がかかると述べていました。
一方、物価水準に収入が追いつかない年金世帯などは依然厳しい状況であると指摘。きめ細かな支援のため、二段構えでの対策を講じると表明しています。
二段構えの対策の「第二弾」として検討されているのが、物価高による食費などの高騰に苦しむ年金世帯や低所得者世帯への追加給付金です。
秋頃の策定を予定しており、現時点で詳しい内容は明かされていませんが、引き続き動向を注目したい議題ですね。
さて、公的年金制度に否定的な感情を持っている方もいますが、公的年金だけで豊かな生活を送れるとは限りません。
自助努力による資産形成を行う重要性が高まっている点も事実。政府としても、税制優遇制度があるiDeCoやNISAを用意して国民の資産形成を後押ししています。
利用できる制度は利用を検討して、老後生活に向けた不安を軽減しましょう。
参考資料
- WeCapital株式会社「【あなたはどっち?】「未来のお金」or「今のお金」約2人に1人は老後資金の準備を始めている!今すぐできる資産運用とは?」(PRTIMES)
- WeCapital株式会社「「年金への期待」に関する意識調査」
- 厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)のメリット」
- 金融庁「NISAを知る」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見(2024年6月21日)」
柴田 充輝