夏と冬の時期に支給される賞与やボーナスといえば、労働者にとっての大きな楽しみといえるでしょう。賞与やボーナスは使用者が必ず支払わなければならない賃金とは異なり、実は支給する義務はないのをご存知ですか?

また、公務員と民間企業でも賞与やボーナスには違いがあります。原則として支給される公務員に対して民間企業では、業績と連動して支給額が決まるケースもあるようです。

年代別の支給額を見てみると、年代が上がるほどに支給額が増えるという傾向もみられました。気になる支給額や実態について見てみましょう。

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1. そもそも賞与とボーナスの仕組みとは?
2. 賞与(ボーナス)と賃金との違いは?
3. 公務員の賞与(ボーナス)。気になる支給額は?
4. 大企業の賞与(ボーナス)の支給額は多い?
5. 業績次第?中小企業の賞与やボーナスの実態
6. 年代別の賞与やボーナスの支給額
7. 賞与(ボーナス)は支給の義務はない!
8. おわりに

そもそも賞与とボーナスの仕組みとは?

賞与といえば、働く人にとっては大きな楽しみの一つといえるのではないでしょうか。「賞与のために頑張って働こう!」という人が多くいるのも決して不思議なことではありません。日本では賞与とボーナスは同じ意味合いで使われており、端的にいえば臨時の給料と表現して良いでしょう。

また、賞与の種類には、企業では決算賞与や役員賞与というものも存在します。決算賞与は、企業の業績に対する評価として従業員に支給されることになります。その具体的な支給額については、会社の売上や個人の評価によってまちまちのようです。取締役や監査役に臨時で支払うことになる役員賞与の支給については、予め計画案を作成した上で株主総会での承認を得るという段取りが必要です。

賞与(ボーナス)と賃金との違いは?

「賞与(ボーナス)と賃金の違いって何だろう?」と考える人もいるのではないでしょうか。労働者に対して支払われるという意味では、賞与(ボーナス)と賃金は同じですが、その意味合いは異なります。

賃金は労働者の就労に対する対償として企業が支払うべきもので、その名称については、「給料」や「給与」などと複数の種類が挙げられますが、いずれも全て賃金になります。ちなみに深夜手当や残業代などの割増賃金についても、同様に賃金として扱われます。

賃金には「支払いの原則」が適用されるという点も覚えておくと給与の仕組みについての理解が深まるでしょう。「支払いの原則」はいわゆる労働基準法で厳しく、その原則が盛り込まれています。小切手や手形ではなく、現金で支払うという通貨払いの原則をはじめ、分割はできないという全額払いの原則などの主に5つの原則があります。これらの原則が遵守されなければ、使用者は処罰を受けることになっています。

公務員の賞与(ボーナス)。気になる支給額は?

公務員の賞与(ボーナス)は毎年のようにニュースになるなど、多くの関心が寄せられますよね。支給日は、夏は6月30日、冬は12月10日と決まっており(土日にあたる時は数日ずれる)、景気に左右されることなく支給されるというのが公務員の賞与(ボーナス)支給における特徴です。

この支給日は、国家公務員に当てはまるものですが、地方公務員も概ね、この日に近いところで支給されます。

気になる公務員の賞与やボーナスの支給額ですが、概ね基本給の2カ月程度とされています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2018年夏のボーナス見通しによると、「2018 年 夏 の国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は 65 万 5,735 円(前年比+ 2 .1% ) に 増加する」との予測がされており、「人事院勧告による基本給の増加や、ボーナス支給月数の増加 などが引き続き支給額を押し上げる要因となる」とも報告されています。

公務員の賞与(ボーナス)について、「恵まれている」という意見も多く出ますが、その理由は、原則として必ず支給されるという点にあるのでしょう。民間企業とは異なり、業績不振や倒産などのリスクが低いのも羨まれる理由といえるかもしれません。

大企業の賞与(ボーナス)の支給額は多い?

大企業の賞与(ボーナス)は、さぞかし多いのではないか、と思っている方もいるのではないでしょうか。

大企業と一口にいっても、業界はもとより、業種業態によっても異なりますので一概にはいえず、業績が好調か不振かによっても支給額は変わってきます。業績が悪くなければ、月収の2~3カ月分というのが平均的とされています。

さて、気になる具体的な支給額ですが、日本経済団体連合会が出した「2018年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(第1回集計)」によると、2018年夏の大手企業の賞与(ボーナス)の平均支給額は、96万7386円となり、これは集計が始まった1959年以来、最高の水準とのこと。

このように好調な業績の年には、業績連動型支給の賞与(ボーナス)のを採用している企業の支給額が大きく増加となり、ニュースなどで話題になったりするのを見ることもあるのではないでしょうか。

業績次第?中小企業の賞与やボーナスの実態

中小企業に勤務する人の賞与(ボーナス)の傾向についても興味関心がある人もいるでしょう。

そもそも、中小企業は資本力という点では、大企業と比べると小規模なものといえるため、大企業よりさらに業績に影響されやすい傾向にあります。このため、中小企業の中には、資金繰りの悪化や経営不振を理由に賞与やボーナスの支給がないというケースもあるようです。

ただし、中小企業でも労働組合があるような企業もあり、人数規模も数人から数百人の規模をまとめて「中小企業」と分類していますので、一概にはいえません。労働組合がない企業では、業績と連動して賞与支給の有無が決定したり、賞与支給額が上下することもあるようです。

これから入社する会社はどうなのだろうと気になった方は、入社してからこんなはずではなかった、と思わないためにも、入社前に確認しておくのが良いかもしれません。

また、気になる中小企業の賞与(ボーナス)の支給額ですが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2018年夏のボーナス見通しによると、2018年夏の民間企業の1人平均支給額は37万1,010円との発表でした。民間企業の9割以上が中小企業であるといわれているため、こちらの数字を引用させて頂きましたが、平均数値の中には大企業も含まれるため、実際に中小企業のみで計算をすると、もう少し低い数値になるかもしれません。賞与(ボーナス)にとっては、業績の安定は重要な要素の1つといえそうです。

年代別の賞与やボーナスの支給額

年代別の賞与やボーナスの支給額の実態についても気になるところでしょう。過去に厚生労働省の公開したデータから、その具体的な数字の傾向を読み解いてみましょう。

  • 20代…313,949円
  • 30代…398,440円
  • 40代…430,498円
  • 50代…455,398円

いずれの年代についても、あくまでも平均的な値であり、この数字だけで全てが理解できるというものではありませんが、全体的な流れは把握できます。

20代から50代へと年齢が上がるにつれて、支給額も高くなるのは、勤続年数に対する評価といえるでしょう。年功序列や終身雇用が少なくなってきたといわれますが、日本企業ではまだまだ、年齢と賞与(ボーナス)の支給額が比例しているといえそうです。

賞与(ボーナス)は支給の義務はない! 

賞与(ボーナス)が欲しいというのが、労働者の切なる思いであることは事実ですが、企業の経営者からしてみれば、その捻出に苦労するということもあるでしょう。

労働者の権利を守る法律や条例によれば、労働者の労働への対償である賃金は必ず支払わなければなりません。しかし、賞与(ボーナス)の支給は、雇い入れる企業の義務ではないとされています。

労働者のモチベーション維持のためにも、賞与(ボーナス)の支給は重要といえますが、残念ながらこれらは企業の義務ではありませんでした。

おわりに

賞与(ボーナス)は、労働者の生活を豊かにしてくれることはもとより、やる気を喚起したり、モチベーションをアップさせたりすることにもつながります。とはいえ、企業が必ず支払わなければならない賃金とは異なり、臨時の収入という意味合いが強いことも事実で、公務員や労働組合があるような企業を除けば、「支給されなくても不思議ではない」という覚悟も必要といえるでしょう。

就活や転職の際には、事前に企業に問い合わせたりするなどして確認しておくのがよいでしょう。

LIMO編集部