3. 夫婦の年金「約46万円」「約50万円」もらえる人の違い

さきほど確認した「現役時代の夫婦の収入ごとの年金例」によると、夫婦の年金が「約46万円」「約50万円」という違いが生まれるということがありました。

ちなみに約46万円という金額は、1ヶ月あたり23万483円を意味します。これは、「夫が報酬43万9000円を受け取り、妻が国民年金にのみ加入している」モデルケースです。

さらに詳細に見ていきましょう。

3.1 夫婦の年金「約46万円」の根拠

  • 夫:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「43万9000円」。国民年金保険料は満額支払い済
  • 妻:専業主婦または扶養内パートとして勤め、生涯において厚生年金への加入はなし。国民年金保険料は満額支払い済

3.2 夫婦の年金「約50万円」の根拠

  • 夫:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「43万9000円」。国民年金保険料は満額支払い済
  • 妻:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「30万円」。国民年金保険料は満額支払い済

※厳密には賞与を踏まえずに計算していた年があるため、この通りとはなりません。

「約50万円」のケースでは、妻も会社員を続けていることが前提となっています。ただし、共働き世帯が増えているものの、女性が出産や介護などでキャリアを一時的に中断することは珍しくありません。

そのため、政府の試算通りに「1回あたりの年金が夫婦の合計で約50万円」となる世帯はごくわずかです。

また、「約46万円でも羨ましい」と感じる方もいるかもしれませんが、これも2ヶ月分の金額であることは覚えておきましょう。

4. 標準夫婦の年金「約46万円」なら老後は安泰なのか

年金が「約46万円」が支給されるなら老後生活は安心なのでしょうか。安心できないかもしれない理由について2点確認しておきましょう。

4.1 年金「約46万円」でも現役時代からは半減?

約46万円という金額はあくまで2ヶ月分であり、1人単位で見ると「夫:16万2483円・妻:6万8000円」となり、現役時代の収入より大幅に減少することが予想されます。

大切なのは、「自分の収入と比較して」ではなく、「現在の収入と比較して」どの程度減少するかです。これにより、貯蓄の準備や生活費の見直しが必要になるでしょう。

また、最近では物価上昇によるインフレリスクにも注意が必要になってきました。

モノの値段が上昇することで、相対的に円の価値が下がることがインフレリスクになるため、インフレに負けない資産の保有などが対策手段となります。

4.2 年金「約46万円」から税金や保険料が差し引かれる

さらに注意が必要なのは、約46万円が手取り額ではないという点です。

年金からは税金や保険料が差し引かれるため、実際の手取り額はさらに少なくなってしまいます。

実際の振込金額は、年金振込通知書で確認することができます。

受給前に送付される「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の数字は額面金額であるため、手取り額と混同しないように気を付けましょう。

年金振込通知書

年金振込通知書

出所:日本年金機構「年金振込通知書」