2. 加給年金の支給要件
加給年金の支給要件は、以下をすべて満たす人です。
- 厚生年金保険に20年以上加入している。もしくは、40歳以降で15〜19年間厚生年金保険の加入期間がある。
- 65歳到達時点で生計を共にしている配偶者や子どもがいる
※65歳到達後に厚生年金保険の加入期間が20年になった場合は、在職定時改定や退職改定、70歳到達時に生計を共にしている配偶者や子どもがいるときに加算される。
加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入している人が65歳になったときに、生計を共にしている配偶者や子どもがいるときに加算されます。
加給年金の支給が停止となるのは、配偶者が65歳になったときや子どもが18歳になった年の年度末です。また、配偶者が65歳から受け取れる老齢厚生年金や退職共済年金を受け取れる権利を持ったときや障害年金を受け取るときにも、加給年金は支給ストップとなります。
では、なぜ加給年金に「不公平」という声が多く聞かれるのでしょうか。次章で解説します。
3. 加給年金に「不公平」の声が集まる理由
加給年金が不公平とされる主な理由は、以下の2つです。
- 年齢差がある夫婦ほど支給期間が長く、得するから
- 独身世帯には支給されないから
加給年金は、昭和29年の厚生年金保険法の改正により制定されました。当時は「夫が仕事をして稼ぎ、妻が家庭を支える」といった家庭のあり方が一般的だったため、退職後も年金で生活を養えるよう、加給年金が支給されていました。
加給年金は、厚生年金保険に20年以上加入している人が65歳になった時点で、配偶者や子どもがいる場合に加算される仕組みです。配偶者がいる場合、加給年金は配偶者が65歳になるまで支給されます。つまり、自身と配偶者と年齢差が大きい夫婦ほど、支給される期間が長くなります。
現在は生計を共にする配偶者も「国民年金第3号被保険者」として年金を受け取れます。そのため、同じ夫婦世帯で年金受給額が全く一緒だった場合でも、加給年金の受給期間によって、生涯で受給する年金に大きな差が生まれてしまうのです。
また、加給年金は生計を共にする配偶者や子どもがいなければ支給されません。つまり、独身世帯には一切支給されないのです。加給年金を受給できないことで、独身世帯で厚生年金の加入期間が長かった人でも、加給年金を受け取っている人に比べて生涯の年金受給額が少なくなる可能性があります。
加給年金は国民年金や厚生年金に比べて支給要件の範囲が狭く、特定の条件に当てはまる人しか受給できません。家族構成によって受給する金額や期間が決まるため、どうしても人によって差が出てしまうのです。