先日、日経平均株価が初の4万2000円を記録しました。
株価の上昇は景気の上向きを示しますので、日本経済にとっては明るい材料でしょう。
一方で、物価高も続いており、実際に生活が豊かになったと感じる方はまだ少ないかもしれません。特に、受け取る金額にあまり変動のない年金受給者にとっては生活に不安を感じる方も多いようです。
実際に受け取る年金ですが、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると月額の平均は14万3965円です。
14万3965円の捉え方も世帯によって違うと思いますが、日本の年金は世帯によって受給月額に差が出る仕組みです。
年金を考える上では、自分自身が受け取る金額で考える必要があるため、年金について理解しておくことが重要です。
そこで今回は年金の仕組みや、厚生年金と国民年金の平均受給額について解説していきます。
1. 日本の公的年金制度
日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
国民年金は老齢基礎年金のみ、厚生年金は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が支給されます。
保険料については国民年金は定額、厚生年金は給与に応じた割合に基づいて支払います。
厚生年金は、収入が多いほど年金額も増えます。また、老齢基礎年金に加えて支給されるため、国民年金よりも給付額が多くなるのが一般的です。
1.3 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金全体の平均月額は14万3973円です。
男性と女性とでは受給額に約6万円の差があり、女性の平均年金月額は約10万円となっています。
女性はパートタイムやアルバイトなど、非正規雇用の割合が高い傾向にあります。非正規雇用では厚生年金の加入条件を満たさない場合が多く、加入期間が短くなることで年金額が低くなります。
また出産や育児のために女性が職場を離れることが多く、これがキャリアの中断や昇進の遅れにつながります。結果として、長期的に見た給与水準が低くなり、厚生年金の給付額も低くなります。
厚生年金における男女差の背景は、このように歴史的、社会的、経済的な要因が絡み合っているというわけです。
では、厚生年金が約10万円という人は全体を通してどの程度存在するのでしょうか。