3. おひとりさまが将来困らないために考えておくべき3つのこととは

おひとりさまは将来的に増えていくと見込まれていますが、単独世帯を対象にした制度はあまり検討されていないのが現状といえるでしょう。

また、おひとりさまは将来的に思わぬトラブルに直面することも懸念されます。

ここでは、おひとりさまが将来困らないために、考えておくべき3つのことを確認していきましょう。

3.1 「身元保証人」を誰に頼むか考えておく

厚生労働省は身元保証人がいないことだけを理由に入院・入所を拒否しないように通知を発出(2018年) し、身寄りがない人のための入院支援ガイドラインを作成(2019年) しました。

とはいえ、現状は入院や施設入所の際に身元保証人を求める病院や施設がほとんどで、かつ身元保証人がいないことを理由に断られたケースもあるようです。

総務省「高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)-入院、入所の支援事例を中心として 〔調査結果の公表〕」は、身元保証人が用意できない場合の対応についての調査結果を公表しています。

身元保証人のいない人が入院・入所する際の厳しい現実がうかがえます。

「成年後見制度」や「身元保証会社」について調べておいたり、おひとりさまの友人間で助け合いを約束したりしておくことをおすすめします。

3.2 「任意後見制度」などを活用し、老後のことを決めておく

子どものいる人は、将来自分がどのような介護を受けたいのか伝えることも可能でしょう。

また、我が子が自分の性格や好みを把握してくれていれば、自分に合った介護サービスや施設を探してくれるかもしれません。

一方、おひとりさまの場合、老後はどのように暮らしたいかや、どういった施設に入居したいかなどを伝えておける人はなかなかいないかと思われます。

また、判断力が衰えた際には、財産や不動産の管理も問題になってくるでしょう。

大切なことを決められなくなる前に「任意後見制度」などを活用し、あらかじめ決めておくのがおすすめです。

この制度を活用すれば不動産や預貯金の管理を事前に決めたとおりに行ってもらえたり、介護サービスや施設入所の契約をスムーズに行えるようになったりします。

ただし、状況というものは変わるものなので、すべて決めたとおりになるという保証はありません。

3.3 なんらかのかたちで社会や人とつながるコミュニティをもつ

単身で暮らす高齢者は変化や異変に気づいてもらいにくいため、福祉サービスへのアクセスが遅れるケースもあります。

こうした事態を防ぐためにもデイサービスや訪問介護サービス、配食サービスを積極的に利用したり、習い事や地域コミュニティに参加したりすることをおすすめします。

週に何度か、1回につき数分でもかかわる人がいれば異変に気づいてもらいやすくなったり、場合によっては自宅まで様子を見に来てくれたりする可能性が高まると言えるでしょう。

4. まとめにかえて

おひとりさまの中には人間関係にとらわれず、自由気ままに生きたいと考える人は多いと見てとれます。

厚生労働省の調査結果では「行動や生き方が自由」が男女ともに多くの回答を集めました。また、同調査からは「家族を養う責任がなく、気楽」と考える人が年々増加傾向にあることが読み取れます。

とはいえ、何かあった際に頼りになるのが他者の存在。現代社会はおひとりさまでも十分に生きていけますが、単身世帯の高齢者や病気のおひとりさまには厳しい側面もあります。

さまざまなパターンを予想し、いくつかの対応策を決めておくことをおすすめします。

参考資料

西田 梨紗