年金や収入の少ない高齢者にとって、年金生活者支援給付金はありがたい制度です。6月支給分からは月額5310円※に増額しました。

※基準額であり、実際の金額は保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて算出されます

しかし、年金生活者支援給付金の支給額は下がることもあります。

この記事では、年金生活者支援給付金の支給要件や支給額について解説します。

支援給付金額が下がる理由やタイミングも紹介しますので、年金受給者の人は確認しておきましょう。

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金(以下、支援給付金)は、年金受給者のなかで収入や所得が低い人の生活支援を目的に年金に上乗せして支給するものです。

消費税の税率が8%から10%へ引き上げられた2019年10月から、増税分を財源に支援給付金制度がスタートしました。

支援給付金は、2ヶ月分をまとめて偶数月の15日に支給されます。

受給中の年金と同じ日、同じ口座に振り込まれます。

2. 年金生活者支援給付金の支給要件

支援給付金は、老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者に対して支給されます。

それぞれの年金受給者の支給要件を解説します。

2.1 【年金生活者支援給付金】老齢基礎年金の受給者

老齢基礎年金の受給者のうち、支援給付金を受給できるのは次の要件を満たした場合です。

老齢基礎年金受給者の支給要件1/3

老齢基礎年金受給者の支給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

  • 同一世帯の全員が住民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が87万8900円以下

夫の年金収入が高額で住民税を支払っていたら、支援給付金は受給できません。

2.2 【年金生活者支援給付金】障害基礎年金の受給者

障害基礎年金の受給者のうち、支援給付金を受給できるのは次の場合です。

障害基礎年金受給者の支給要件2/3

障害基礎年金受給者の支給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

  • 前年の所得が472万1000円以下

老齢年金と異なり、障害年金は非課税で所得にならないため、年金以外の所得を基に判定します。

また、支給要件に家族の所得は含まれません。

2.3 【年金生活者支援給付金】遺族基礎年金の受給者

遺族基礎年金の受給者のうち、支援給付金を受給できるのは次の場合です。

遺族基礎年金受給者の支給要件3/3

遺族基礎年金受給者の支給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

  • 前年の所得が472万1000円以下

障害年金と同様、年金以外の所得を基に判定します。

3. 年金生活者支援給付金の月額

続いて年金生活者支援給付金の支給月額について見ていきましょう。

4. 障害・遺族年金の支援給付金額

障害基礎年金と遺族基礎年金の支援給付金の月額は、次の通り定額です。

  • 障害等級1級の障害年金受給者:6638円
  • 障害等級2級の障害年金受給者:5310円
  • 遺族年金受給者:5310円

障害等級が変更になると、変更月に支援給付金の金額も変更になります。

障害・遺族年金の支援給付金の金額について解説しましたが、次章では老齢基礎年金の支援給付金額や支給額が下がる理由について紹介します。

年金制度の加入状況や所得などによって給付金額は一人ひとり異なります。

4.1 老齢年金の支援給付金額

老齢基礎年金受給者の支援給付金の月額は、次の通り計算します。

  • 支援給付金額=5310円×保険料納付月数÷480月

保険料納付月数は、20歳から60歳までに国民年金保険料や厚生年金保険料を納付した月数です。

30年間納付した場合、または40年間納付した場合の給付金額は次の通りです。

  • 30年間納付:支援給付金額=5310円×360月÷480月=3983円
  • 40年間納付:支援給付金額=5310円×480月÷480月=5310円

保険料を滞納することなく40年間納めると、遺族年金や障害年金(障害等級2級)の支援給付金額と同額になります。

ただし、前年の年金収入とその他の所得との合計額が77万8900円超87万8900円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給され支援給付金額は低くなります。

前述の計算式に、調整率をかけて支援給付金額を計算します。

  • 支援給付金額=5310円×保険料納付月数÷480月×調整率
  • 調整率=(87万8900円-前年の年金収入とその他の所得の合計)÷10万円

納付月数480月、年金収入82万8900円(その他の所得なし)の場合、支援給付金額は次の通りです。

  • 調整率=(87万8900円-82万8900円)÷10万円=0.5
  • 支援給付金額=5310円×480月÷480月×0.5=2655円

調整率が0.5のため、支援給付金額は最高額の半額です。

4.2 支援給付金額が下がる理由

支援給付金額が下がるのは、給与所得などが増えて「前年の年金収入とその他の所得の合計」が77万8900円を超えて補足的老齢年金生活者支援給付金を受け取るようになったケース、または調整率が下がったケースです。

納付月数480月、年金収入60万円・給与所得15万円の人が、翌年給与アップして給与所得25万円になった場合、支援給付金額は次の通り下がります。

  • 給与所得15万円の場合:支援給付金額は5310円
  • 給与所得25万円の場合:5310円×(87万8900円-85万)÷10万円=1535円

4.3 支援給付金額が変動するタイミング

支援給付金額が変わるのは毎年4月(4月、5月分は6月振込)と10月(10月、11月分は12月振込)です。

4月の改定は、支援給付金の支給水準の改定です。

2024年3月までの最高月額は5140円でしたが2024年4月から5310円になりました。

10月の改定は、前年の所得が判明して「前年の年金収入とその他の所得の合計」が77万8900円や87万8900円のラインを上回ったり下回ったりしたときに行われます。

4月の改定は支援給付金受給者の全員が対象となるのに対し、10月は上記に該当する人だけ支援給付金額が変わります。

5. まとめにかえて

障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者については、年金生活者支援給付金の支給額は定額ですが、老齢基礎年金受給者については、保険料の納付月数や年金収入、その他の所得によって一人ひとり異なります。

老齢基礎年金受給者の支援給付金額の改定は毎年4月と10月で、前年の給与所得などが増えた人は10月に支援給付金額が下がる可能性があります。

日本年金機構から12月頃に送付される「支給金額変更通知書」で確認しましょう。

参考資料

西岡 秀泰