2018年5月15日に行われた、株式会社メディパルホールディングス2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社メディパルホールディングス 代表取締役社長 渡辺秀一 氏
株式会社メディパルホールディングス 専務取締役/株式会社メディセオ 代表取締役社長 長福恭弘 氏
株式会社メディパルホールディングス 常務取締役 依田俊英 氏
2018年3月期決算説明会
渡辺秀一氏(以下、渡辺):本日は弊社の2018年3月期決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。社長の渡辺でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日の概要でございます。最初に、私から2018年3月期業績の概要についてご説明をさせていただきます。
次に、メディセオ事業の既存事業については専務取締役の長福より、新規事業につきましては常務取締役の依田より、ご説明いたします。PALTAC事業ならびに今期の業績予想につきましては、私からご説明をさせていただきます。
中期ビジョンの戦略を着々と推進
メディパルは、中期ビジョンを着々と推進しております。既存事業の革新と新規事業の創造は、想定どおりに進んでいると思っております。
今期は、中期ビジョンの最終年度になります。「Change the 卸 next 革新と創造」を、しっかりと進めていきたいと思っております。
業績の概況
次のスライドをご覧ください。2018年3月期の業績の概要でございます。
連結業績は、売上高も各段階利益も過去最高を更新しました。各事業においても、それぞれの取り組みが成果となって表れ、増収増益を達成いたしました。
今期も、さらなる業績の向上に努めてまいりたいと思っております。
連結損益計算書
次のスライドをご覧ください。連結業績です。
売上高は3兆1,463億円、営業利益は442億円となりました。前年実績ならびに計画を上回る実績となりました。
続きまして、メディセオ事業について、専務取締役の長福よりご説明させていただきます。
医療用医薬品等卸売事業(メディセオ事業)の業績
長福恭弘氏:長福でございます。メディセオ事業の業績と既存事業の取り組みについて、ご説明させていただきます。
メディセオ事業の業績は、ご覧のとおりです。売上高は前期比プラス1.7パーセント、営業利益は前期比プラス4.1パーセントとなりました。
当期純利益は、株式売却益を計上したことなどから、前期比プラス19.5パーセントとなりました。
医療用医薬品の売上構成比
医療用医薬品のカテゴリー別で見た、売上構成比でございます。
新薬加算品と後発医薬品が、前期に引き続き拡大をしております。参考までに、2018年3月期の状況を、今回の薬価改定後のカテゴリーに置き換えますと、右の図のとおりになります。
メディセオ事業の取組み
2019年3月期の取組みでございます。
まず、業界共通のテーマとして、流通改善に注力いたします。
そして、独自の取組みとして、既存事業における生産性の拡大と新規事業における飛躍的な成長を目指し、いかなる環境下でも成長を継続していけるよう、「筋肉体質」にしてまいります。
物流戦略:ALC(Area Logistics Center)による生産性向上
今期は、受注から納品までのオペレーションの改善を通じてALCの機能をフルに発揮し、さらなる生産性の向上を目指し、同時に物流提案を通じて、顧客と当社双方の業務の効率化を進めてまいります。
現在ALCは、全国の9ヶ所で稼働しております。来年度は、埼玉県内に関東ALCが稼働する予定となっております。
営業機能の強化
営業機能であるARについて、お話しいたします。
3月末現在で、ARは2,100名以上となりました。大手メーカーのMR数と匹敵する規模になっております。
メーカーは、特定の領域でMRを集中させるなどしており、MR数が2013年をピークに減少しております。
一方で、ARに対するニーズが高まっており、プロモーション活動やEMSなど、活動の場が広がっております。
新規事業関連商品の売上高
「ノベルジン」や「テムセル」など、新規事業の販売に伴う売上は、既存事業の売上に計上されております。前期は88億円の実績となりました。
これは、医薬品の全体市場が伸びない中でも潜在ニーズを掘り起こすことにより、自らの力で市場を創造することができることを証明しております。
私からの説明は、以上とさせていただきます。続きまして、新規事業について、常務取締役の依田からご説明させていただきます。
新規事業の振り返り
依田俊英氏:事業開発を担当している、依田でございます。新規事業についてご説明いたします。前期の新規事業の振り返りは、ご覧のとおりです。
昨年(2017年)の9月にJCRファーマとの資本業務提携を行いまして、JCRファーマの株式の22パーセントを取得いたしました。
(2018年)1月には、JCR USAを合弁で設立いたしました。これは、私どもの出資比率が35パーセントとなっております。
期末の3月には、電子カルテの会社でありますクリニカル・プラットフォームと資本提携をいたしまして、10パーセントの出資をさせていただいております。
こういった出資だけでも、200億円を超える出資・投資をさせていただいております。
新規事業の実績と目標
新規事業の利益は、前期で24億円の実績となりました。今期は50億円を目指し、取り組みを加速してまいります。
使用成績調査(PMS):取組み状況
使用成績調査(PMS)です。PMSは、2014年7月にスタートいたしましたが、直近の累計調査数では、12,000症例に拡大いたしました。順調に大型案件を取得できまして、現在12,000症例となっております。
PFM®:着実な活動で治療に貢献
「ノベルジン」は、ARを中心にプロモーション活動を行っており、低亜鉛血症治療薬の適応症を追加したことで、売上が10倍になりました。
また、急性GVHDの適応症を持つ「テムセル」は、発売後、納入施設数が55に拡大いたしました。症例数は、累計で229となっております。
ノーベルファーマへの出資比率を20%へ
先ほど「ノベルジン」でご説明しました、ノーベルファーマという会社でございます。私どもは、このノーベルファーマへの出資比率を20パーセントまで(にする)追加取得を、今月(2018年5月)行いました。
この新規事業を通じて良好な信頼関係を築いているメーカーの1つであり、希少疾病の薬を中心に、7品目のパイプラインを持っています。同社の創薬を、営業・物流・資金面から多角的に協力・サポートしていきます。
また、持分法適用会社とすることで、利益の一部を取り込むことができるようになります。
PFM®:今後の主な発売予定
PFMでは、これまでに17品目を発売しています。今後発売予定のおもな製品をご紹介いたします。
先ほどのノーベルファーマからは、夏過ぎに「ジェミーナ配合錠」という月経困難症の治療薬が発売見込みになっております。
2つ目は、同じく22パーセント出資しましたJCRファーマから、開発投資で入ってくるファブリー病治療薬の「JR-051」が、秋ぐらいの発売になると考えております。これは、ファブラザイムのバイオシミラー(BS)です。
そして3つ目は、来年度以降になりますけれども、同じくJCRのハンター症候群治療薬「JR-141」です。
JCRの「J‐Brain Cargo」という血液の脳関門を通過させる技術ですけれども、それを用いた初の製品で、これは海外にも導出する予定になっております。
国内では、先駆けて審査指定制度の対象に指定されており、来年度以降に発売できる見込みとなっております。
海外事業の展開
海外事業の展開状況です。
中国の出資先の2社は、日本からの製品導入などにより順調に事業を拡大しております。中国事業ののれんの償却は、今期上期で完了し、持分法投資利益として約6億円が計上される予定です。
JCRファーマは、ハンター症候群治療剤「JR-141」の試験をブラジルで開始できる状況になっており、アメリカでも年内にFDAとの協議を開始いたします。
発売後は、売上に応じたロイヤリティ収入を得る予定になっております。
クラウド電子カルテ事業における協業
3月に、クリニカル・プラットフォームならびにエムティーアイとのクラウド電子カルテ事業における3社の協業を発表いたしました。
クリニカル・プラットフォームの開発力、デジタルヘルスに強みを持つエムティーアイのマーケティング力、そして当社グループのネットワークや営業力を利用して、新たな医療プラットフォームの構築を目指していきます。
私からの説明は、以上となります。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業(PALTAC事業)の業績
渡辺:PALTAC事業について、私からご説明させていただきます。
PALTAC事業の業績は、ご覧のとおりでございます。主力であるドラッグストア向けの販売が好調であったことに加えて、インバウンド需要も追い風となりました。
また、物流・生産性向上の取組みが進展いたしました。これらの結果、営業利益は229億円、前期比プラス20.2パーセントと大幅な増益となりました。
PALTACの取組み
PALTAC事業では、今後の人手不足に対処するため、新たな技術と既存の物流ノウハウを融合させた新物流モデルの開発を進めています。従来方式と比べて、人員生産性が2倍になる見込みであります。
設備投資と減価償却
新物流モデル実用化の第1弾は、「RDC新潟」で、今年(2018年)8月に稼働する予定でございます。第2弾は、来年(2019年)冬頃、埼玉県にPALTAC最大規模の出荷能力となる「RDC杉戸」が稼働する予定でございます。
これらを含め、今期の設備投資は97億円を計画しております。
2019年3月期 連結業績予想
続きまして、2019年3月期の業績予想についてご説明いたします。27ページをご覧ください。
連結業績予想は、ご覧のとおりです。売上高は3兆1,560億円、営業利益は460億円、経常利益は600億円を計画しています。中期ビジョンの営業利益目標の500億円には届きませんが、過去最高益を更新する予定でございます。
事業セグメント別の通期業績予想
事業別の予想は、ご覧のとおりでございます。PALTAC事業とアグロ・フーズ事業は、増収増益の予想でございます。
株主還元方針
配当金はご覧のとおり、2018年3月期は期末の配当金を18円とし、中間の16円と合わせて年間34円といたします。
今期は中間18円、期末18円で年間36円となる予定であります。
私からのご説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。