4. 公的年金だけに頼らない対策を
ここまで年金の仕組みや現在のシニア世代の平均年金受給額などをみてきました。率直に「少ない」と感じる人もいるでしょう。
実際、安心して老後の生活を送るうえで公的年金だけに頼ることは心もとなく感じます。そこで老後にむけた対策を3つ紹介していきますので、参考にしてみてください。
4.1 年金を繰り下げて受給する
本来、年金の受給は65歳からですが、受給開始時期を66歳~75歳の間で繰り下げ受給することができます。65歳から繰り下げると1年ごと0.7%、最大で84%の増加率で受給することができます。
65歳の時点でまだ仕事をしている場合や、預貯金に余裕があり65歳で年金を受け取る必要がない人にとっては選択肢になり得ます。
ただ、繰り下げている間に亡くなってしまうと受給額は少なくなるので注意が必要です。
4.2 労働期間を延ばす
現在、65歳で退職としている企業が多いと思います。「人生100年時代」とも言われていますから、65歳以降も働きたいと考えている人もいでしょう。
65歳以降も働き続けることで年金収入に加えて労働収入も確保できるので、余裕がでてきそうですね。ただ、必ずしも健康に長く働けるとは限りませんので、他にも対策を始めるとより安心です。
4.3 資産運用を取り入れる
昨今、話題になっているNISAやiDeCoも資産運用の一つです。資産運用は、元本割れをするリスクが伴いますが、長い年月をかけてコツコツ積み立てていくことで、雪だるま方式で資産を増やしていける可能性があります。
また、少額から始めることができる点も魅力の一つです。資産運用によって、メリット・デメリットは異なります。制度や仕組みを理解して、始めてみてはいかがでしょうか。
5. まとめにかえて
今回は、年金が約46万円支給される標準的な夫婦について解説してきました。冒頭で触れたように、「約46万円」というのでは夫婦二人で給付される2カ月分の年金額です。
実際はここから税金や社会保険料がひかれるため、手取り額はさらに少なくなります。まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」等で、自身が老後に受け取る見込みの年金額を確認してみてください。
その結果「不安だ・足りない」と感じた方は早急に対策をしていきましょう。
6. 【ご参考】年金一覧表(厚生年金・国民年金)
最後に、厚生年金と国民年金の1万円刻みの受給権者数を一覧表でご紹介します。
6.1 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
※国民年金部分を含む
6.2 【国民年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
参考資料
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。」
- 日本年金機構「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」
LIMO編集部