ボーナス時期は転職を考える機会が増えると言われていますが、転職は年金の受給額や制度に影響を与える場合があります。
特に国民年金に切り替える場合には、自分で手続きが必要なので注意が必要です。
今回の記事では
- 転職が年金に与える影響
- 日本の平均年収・モデル年金
について紹介します。
1. 転職による年金への影響とは?
転職をすると転職先や空白期間の有無によって、年金の制度や受給額に影響があります。
自分で手続きが必要なパターンもあるので、自分の選んだ転職方法に当てはまるケースを理解して、正しく行動しましょう。
1.1 【転職による年金】空白期間なく企業へ転職する場合
一般的には、公務員や企業に転職すれば厚生年金に加入します。
正社員もしくは労働時間・労働日数が一般社員の4分の3以上ある非正規雇用者は、厚生年金の加入が義務付けられています。
前職の在籍日の翌日から新しい職場の在籍日が始まり、切れ目なく転職する場合には、厚生年金を引き継ぐことになります。
年金加入に関する基本的な実務は企業が対応してくれるので、指示に従って書類を提出すれば対応は完了です。
なお、厚生年金は標準報酬月額の平均値に応じて将来の受給額が変化します。
転職によって月給が変化すれば、標準報酬月額および受給額が変わる可能性があるので注意しましょう。
基本的には月給・年収が増えれば、将来の受給額は増加する可能性があります。
1.2 【転職による年金】空白期間がある場合
企業勤めや公務員として厚生年金に加入する場合、国民年金は「第2号被保険者」にあたります。
第2号被保険者は退職翌日に資格を喪失するため、入社日が少しでも空く場合は、一旦第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。
手続きは、資格喪失後14日以内に実施する必要があります。
自治体に確認して必要な手続きを進めましょう。
なお、第2号被保険者の資格は退職日翌日に喪失しますが、国民年金の支払いが発生するのは、退職日から月が変わったあとです。
同月に再就職する場合には、国民年金の支払い対応は不要となります。
一方で、無職期間が続いて月が替わったら、該当月は国民年金を自分で納付する義務が生じます。
1.3 国民年金へ切り替わる場合
正社員の3/4以下の労働時間もしくは労働日数となる非正規雇用に変わる場合、もしくは自営業・フリーランスなどに転職する場合は、再び会社勤めや公務員に復帰しない限り第1号被保険者となり、国民年金の納付義務が発生します。
国民年金は自分で納付対応を行う必要があるので、忘れずに手続きを進めましょう。
また、一般に国民年金に変わると、将来の支給額が減少します。
iDeCoや国民年金基金等を活用して、老後の収入を維持する工夫をするのも一案です。
2. 日本の平均年収は458万円
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円でした。
これは非正規も含んだ数値で、正社員・非正規それぞれの平均年収は次のとおりです。
- 正社員:523万3000円
- 非正規社員:200万5000円
なお、正社員が前年比+1.5%で、非正規は+2.8%となっています。
全体の伸び率は+2.7%です。
近年では、概ね400万円台での推移が続いています。
コロナ禍のタイミングであった令和元年~2年を除けば、緩やかに年収は上昇傾向です。
3. 政府が公表するモデル年金
政府は年金の標準的な金額を捉える目的で、モデル年金というものを設定しています。
これは、夫婦二人の世帯を想定して、基礎年金が二人分および男性が平均的な収入で40年間就業した想定で受け取る年金額を試算したものです。
2024年時点で、このモデル年金の受給額は一世帯で23万483円となります。
現時点で平均的な水準の収入を得ている世帯は、この金額を念頭に老後のマネープランを立てていきましょう。
一方で、ライフスタイルが多様化する中で、モデル年金だけでは実態を捉えられないという指摘も散見されます。
そこで、厚生労働省は「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」にて、さまざまな状況における年金受給額の試算を公開しています。
試算は多岐にわたるので、代表的なものだけ紹介します。
3.1 単身世帯におけるモデル年金
- 平均標準報酬54万9000円:男性の平均的な収入を1.25倍:受給額18万6104円
- 平均標準報酬43万9000円:男性の平均的な収入:受給額16万2483円
- 平均標準報酬37万4000円:女性の平均的な収入を1.25倍:受給額14万8617円
- 平均標準報酬30万円:女性の平均的な収入:受給額13万2494円
3.2 二人以上世帯におけるモデル年金
- 男性の平均的な収入を1.25倍 + 女性の平均的な収入を1.25倍:受給額33万4721円
- 男性の平均的な収入 + 女性の平均的な収入:受給額29万4977円
- 男性の平均的な収入を1.25倍 + 短時間労働者の平均的な収入:受給額28万4588円
- 男性の平均的な収入 + 短時間労働者の平均的な収入:受給額26万967円
主に単身世帯や共働き世帯の年金額について、さまざまなパターンでの試算がまとめられています。
4. 転職は年金も見据えて
近年では、概ね平均年収が400万円台で推移しています。
夏のボーナスの時期には、転職熱が高まる方も増えるでしょう。正社員・非正規でも給与水準が異なります。
今現在の給与だけでなく、将来の年金にも影響があることを知っておきましょう。
自分のライフスタイルに近いパターンの受給額を参考にしながら、総合的にキャリアを検討することが重要です。
【編集部よりご参考】
年収によってどれほど年金に差があるのかについて、厚生労働省の資料から「年金受給額の分布」の様子をご紹介します。
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
幅広い受給額にばらけていることから、それぞれの年収や加入期間の与える影響力がうかがえます。


