2. 「老後は再就職したほうが良いでしょうか」の回答

質問者の方が現在健康に問題がなく、定年退職後にやりたいことが「年2回の旅行」という場合、再就職するなどして働くことには大きなメリットがあります。

経済的にゆとりのある老後を送る上で、ぜひ仕事を続けましょう。

現在、貯蓄2500万円で退職金が1000万円もらえるとのこと。単純計算で、老後の資金はそれらを合計した貯蓄3500万円と、毎月もらえる14万円の年金ですね。

もしも今後働かない場合、老後に毎月30万円を使って生活すると、約18年間は問題なく暮らすことができます。18年後、質問者の方は83歳。

老後の生活費をシミュレーションしてみました。

2.1 老後の収支シミュレーション(一例)

【収入】老後18年間の生活資金
貯蓄3500万円+年金14万円×12ヶ月×18年間=6524万円

【支出】老後18年間の生活費
30万円×12ヶ月×18年間=6480万円

質問者さんの場合、定年退職後は、月30万円以上のお金がかかる可能性があります。

まず、お子さん2人がまだ学生なので、学費や子どもの生活資金の援助が数年間は続くことが考えられるでしょう。

また、年2回の旅行について、妻と一緒に海外に出かけると、場所や期間によっては、1回で30万円以上かかることがあるかもしれません。

さらに、83歳までには病気やけがで、手術や入院などを経験する可能性もあります。

そして、日本の平均寿命は右肩上がりであり、80歳を超える高齢者がたくさんいらっしゃいます。

【写真全3枚中1枚目】平均寿命の年次推移。2枚目では、66歳以上まで働ける制度のある企業の割合を掲載。

【写真全3枚中1枚目】平均寿命の年次推移。2枚目では、66歳以上まで働ける制度のある企業の割合を掲載。

出所:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」

質問者の方も、83歳を超えても元気に暮らす可能性が十分にあるといえるでしょう。

長生きした場合を考えると、定年退職後も働いてお金を準備しておくことは、安心につながるはずです。

定年退職後の再就職では、現役時代から働くペースや収入を落としても大きな問題はありません。健康を第一に無理のない範囲で働きましょう。

また、旅行以外にも自由な時間がほしいと考えている場合、さらに労働時間を減らしても構いません。そうした時間を優先して楽しむのも老後の醍醐味です。

大切なのは、キャリアを途絶えさせることなく定期的な収入をもらうこと。

厚生労働省「令和5年高年齢者雇用状況等報告」によると、66歳以上まで働ける制度のある企業は43.3%。増加傾向にあると見受けられます。

65歳を超えても働ける企業が増えています。質問者と同じような境遇にいる方も、今後も働き続けることはできないか、ぜひ検討してみてください。

次の章では、シニアが定年退職後も働く意味について深堀りしていきましょう。