3. 老後、年金収入だけで生活できる高齢者世帯は44%…

厚生労働省が公表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金収入だけで生活している世帯は全体の44%と半数にも満たない結果となっています。

高齢者世帯の総所得に占める公的年金の割合

高齢者世帯の総所得に占める公的年金の割合

出所:厚生労働省 2022(令和4)年「国民生活基礎調査の概況」

生活水準は世帯により異なるため、月額30万円以上の年金を受け取る高額受給者であっても、年金収入だけで生活費をカバーできているとは限らないでしょう。

収入と支出のバランスが重要ではありますが、収入源や収入アップの方法が限られる年金生活において、年金収入だけで生活できない世帯が半数を超えている現状を見ると、老後への不安が高まります。

4. 老後に備えて早めの準備を 

本記事では、現在の高齢者世帯の年金受給額に関する資料より、平均受給額と高額受給者の割合を確認しました。

ご自身の年金見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。現時点の年金加入記録に基づく見込額ですが、老後対策を進める上での参考となります。

年金見込額を確認し、老後にかかる生活費などの支出と比較してみると良いでしょう。

自身の生活レベルを把握することで、必要となる老後資金は変わってきます。最低限の生活をしたいのか、ゆとりのある生活をしたいのか、まずはここを明確にしなければいけません。

それらの必要資金・生活費が分かった上で、老後資金を資産運用で増やしていくことを逆算で考えてみましょう。老後資金を考える大きな対策の一歩になります。

2024年から新NISAなどの金融庁推奨の制度も始まりました。運用商品は長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託などに限定されており、比較的低リスクで始められます。

資産運用には時間を味方につけることが重要です。長く運用することでリスク軽減にも繋がり、始めるのは早ければ早いほど良いとされています。

このように新NISAを一例に取り上げましたが、資産形成といっても様々な手段があります。まずは情報収集から始めてみましょう。

参考資料

立野 力