高年齢者雇用安定法が2021年4月に改正され、70歳までの就業機会の確保が努力義務とされました。

また、60歳~65歳未満の労働者が「60歳時点の賃金額の75%未満となった状態で雇用を継続する」という場合、60歳以降の賃金の15%を支給していたものを、2025年4月から10%に縮小されます。

2025年4月からすべての企業で「従業員の65歳までの雇用確保」が義務化されることもあり、働くシニアはますます増えると考えられます。

現時点では努力義務となっているものの、将来70歳までの雇用確保となる可能性も充分に考えられるでしょう。

こうしたことから、65歳ですんなり引退となる夫婦は実は多くはないのかもしれません。

将来的に受け取れる年金に不安を感じている方は身体が健康であれば働いていたいとなおのこと思うのではないでしょうか。

今回の記事ではシニアの就業率や貯蓄、年金額の実態について見ていき、どのように老後に備えていったらいいのかを考えてみましょう。

1. 60歳代で引退は少数派?シニアの就業率

内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると、年代別の就業率は60歳代前半で73%、60歳代後半は50.8%、70歳代前半で33.5%となっています。

令和において、65~69歳の過半数が就業を維持している状況となっています。

70歳代後半になると就業率は11%までさがり、大半の方が引退済みと考えられます。

【写真1枚目/全5枚】年齢階級別就業率の推移。後半の写真では、シニアの年金額や貯蓄残高に迫る

年齢階級別就業率の推移

出所:内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)第2節 高齢期の暮らしの動向(1) 1 就業・所得」

65歳以上も働く理由はさまざまですが、ひとつに年金額を含む経済的な要因もあるでしょう。

2024年度の年金額は2.7%の増額となりましたが、物価上昇に追いつけず実質目減りとなっています。