4. 老後になっても貯金を続けていく必要があるのか
現役世代の人の中には、「老後になっても貯金を続けていく必要があるのか」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、一昔前までは60歳以降は今までで準備した貯蓄を切り崩して生活をしていくことが一般的でしたが、「平均寿命の延び」や「公的年金制度の不安視」「物価上昇」等の要因により、現在では60歳以降も貯蓄を継続される方が増えています。
老後を迎えられるまでに十分な資金を確保できるかどうかが一つの分岐点になりますが、いざ老後を迎え余裕資金がない人の場合、「急な出費」に備えて引き続き貯金を続けていくことが必要不可欠になるでしょう。
「急な出費」として例に挙げられるのは、突然の事故によるケガや病気による医療費、お住まいの修繕費などがあります。
特に医療費に関しては、長期化した入院や通院等によって思っていた以上に高額になる可能性が考えられます。また、民間の医療保険に加入されていたとしても給付金の請求は基本的には後払いとなっている保険会社が多いでしょう。
これから変化するライフスタイルにうまく対応していくためにもコツコツと貯金を継続することは老後を迎えられた後も多くの人にとって必要となるでしょう。
5. 老後の計画は「早めに・定期的に」がカギ
還暦人の調査からは、十分に資産形成できた世帯とできていない世帯の格差も浮き彫りとなりました。
平均額が高すぎても不安を受けますが、「格差がある」「貯蓄ゼロ世帯がいる」ことも不安要素となります。
しかし、個人が置かれている状況によって必要な老後対策は変わるものです。
60歳を過ぎても働ける環境にある方、あるいは十分な年金収入がある方は、多くの老後資金は必要ないかもしれません。貯蓄ゼロは極端でも、数百万円の貯金で暮らせていける方はいるでしょう。
しかし、突発的な支出も見込んでしっかり準備したいと思う方は、早めの準備が必要になります。
インフレが進む今、実際に必要な金額は老後になるまでわかりにくいものですが、不安を拭うために準備は進めておきたいものです。
確実に貯蓄を進めるには、毎月の給料や収入から一定額を先に貯蓄し、残りのお金で生活していく「先取り貯金」が効果的です。
老後に向けて、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
5.1 【ご参考】60歳代のひとり暮らし世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:33.3%
- 100万円未満:8.5%
- 100~200万円未満:4.7%
- 200~300万円未満:2.8%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.4%
- 500~700万円未満:3.5%
- 700~1000万円未満:2.8%
- 1000~1500万円未満:6.6%
- 1500~2000万円未満:4.5%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:15.1%
- 平均:1468万円
- 中央値:210万円
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- PGF生命「PGF生命調べ 還暦に見えない! 容姿が若いと思う同年代の有名人は? 男性有名人1位「阿部 寛さん」、女性有名人1位「山口 智子さん」」
- PGF生命「2023年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」
奥田 朝