次回の年金支給が6月14日に予定されています。

年金は2ヶ月分が偶数月にまとめて支給されますが「なんだか金額が少ない」と感じている人もいるのではないでしょうか。

実は、年金には税金がかかります。現役の頃よりも収入が下がる老後。

それでも続く税負担は、家計にとっては厳しいものでしょう。

しかし、納税は全国民の義務です。老後生活がスタートしたとしても、税金を納める必要があります。

この記事では、年金にかかる税金について解説します。

年金と税金・社会保険料の関連性や年金の手取り額を中心に、詳しく見ていきましょう。

1. 日本の公的年金のしくみ

日本の公的年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者世代へ給付する「世代間の支え合い」で成り立っています。

また、国民全員が年金保険に加入する「国民皆年金」も特徴です。

日本の公的年金は、以下のとおり国民年金と厚生年金の2階建て構造です。

【写真1枚目/全6枚】公的年金のしくみ図/次ページでは年金から天引きされるお金を一覧表で解説1/6

日本の公的年金のしくみ

出所:厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」

1階部分の国民年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。

会社員や公務員などの第2号被保険者は、2階部分にあたる厚生年金にも加入します。

3階部分は企業年金や個人年金などがあり、年金の上乗せが可能です。

年金は高齢者の生活財源として、重要な役割を果たしています。

2. 年金から天引きされるお金一覧

年金からは、税金や社会保険料が天引きされる場合があります。

天引きとなるのは、以下のような税金や保険料です。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 後期高齢者医療保険料
  • 介護保険料

年金からの税金、社会保険料の天引きは、年金の受給額や受給理由、年齢などによって決まります。

所得税のみ源泉徴収で、住民税や社会保険料は特別徴収です。

2.1 年金の源泉徴収額

年金から源泉徴収される金額は、以下の計算式で求めます。

  • 源泉徴収税額=(年金支給額-社会保険料-各種控除額)×5.105%

※各種控除額については、記事内の画像参照

年金の基礎控除額3/6

年金の基礎控除額

出所:人事院「公的年金等に係る税金」

年金の控除額(条件別)4/6

年金の控除額(条件別)

出所:人事院「公的年金等に係る税金」

源泉徴収税額は、支給された金額から社会保険料や控除額を引いた額に5.105%を掛けて算出します。

年金受給額が65歳未満の人は108万円以下、65歳以上の人は158万円以下であれば、源泉徴収はされません。

3. 厚生年金を「額面15万円」受給している人の割合

「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金と厚生年金の合計受給額の平均は14万3973円でした。

では、平均を上回る15万円を受給している人は、どれくらいいるのか見てみましょう。

厚生年金の平均月額5/6

厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人

※国民年金部分を含む

受給権者数1599万6701人のうち、15万円以上の年金を受け取っているのは553万1574人で、全体の46.1%でした。

年金15万円を受け取れる人は全体の半数にも達しません。

最も人数が多いのは平均額を下回る10万円台の112万7493人です。

実際には、上記の金額から税金や社会保険料が差し引かれます。

手元に残る金額はさらに少ない金額です。果たしてどれくらいの金額が手元に残るのでしょうか。

4. 「額面15万」から天引きされたら手取りはいくらになる?

額面で15万円の年金を受け取っている場合を例に、税金や社会保険料の天引き後の手取り年金額を確かめてみましょう。

この記事では、札幌市在住の67歳の独身男性(年金月額15万円)をモデルに、天引き後の手取り年金額をシミュレーションします。

はじめに、モデル男性が年金から引かれる税金や社会保険料をおさらいしましょう。

引かれるものは以下のとおりです。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料
  • 所得税(源泉徴収税)
  • 住民税

札幌市のホームページを見ると、モデル男性が年金から引かれる介護保険料と国民健康保険料は以下のとおりになります。

  • 介護保険料:8万6588円(年額)
  • 国民健康保険料:6万6220円(年額)

これを踏まえて源泉徴収される所得税を算出します。

  • 源泉徴収税額=(180万円-15万2808円-162万円)×5.105%=1388円(年額)

※各種控除額については、基礎的控除のみを適用

最後に、住民税を算出します。

  • 住民税=所得割:課税所得金額×10%=(180万円-110万円)×0.1=7万円
        均等割・森林環境税:5000円
        合計:7万円+5000円=7万5000円(年額)

※所得割110万円の減算は、公的年金等控除額

すべて足すと、年間で22万9196円が年金から差し引かれます。

モデル男性の年金は月額15万円ですから、年額180万円です。

差し引くと157万804円となるため、月額で約13万900円が手取り年金額となります。

額面で15万円の年金を受け取っていても、実際は2万円ほど引かれて支給されているのです。

年金からの天引き額は居住地や家族構成、年齢などによって変わります。

額面と手取り額には多少の差が生まれると考えておきましょう。

5. 次の支給日は6月14日(金)!2024年度の年金額はいくら?

2024年度の年金支給日は、以下のとおりです。

年金支給日一覧表6/6

年金支給日一覧表

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。をもとに筆者作成

  • 2024年4月15日(月):2024年2月分・2024年3月分
  • 2024年6月14日(金):2024年4月分・2024年5月分
  • 2024年8月15日(木):2024年6月分・2024年7月分
  • 2024年10月15日(火):2024年8月分・2024年9月分
  • 2024年12月13日(金):2024年10月分・2024年11月分

年金は、毎年偶数月の15日に2ヶ月分がまとめて支払われます。

15日が土日祝日の場合は、直前の平日に支払われます。

2024年6月は、4・5月分の年金が支払われる予定です。

今年度から年金の支給対象となった人にとっては、初めての年金支給です。

また、2024年度の年金額は、月額で以下のとおり定められています。

  • 国民年金:6万8000円
  • 厚生年金:23万483円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)

年金額は毎年改定されています。改定のルールは以下のとおりです。

  • 既裁定者:前年度改定率(再評価率)× 物価変動率 × マクロ経済スライド調整率
  • 新裁定者:前年度改定率 × 名目手取り賃金変動率 × マクロ経済スライド調整率

※既裁定者:68歳到達年度以後の受給権者
※新裁定者:68歳到達年度前の受給権者
※賃金変動が物価変動を下回る場合、既裁定者の年金額は賃金変動に合わせて改定

68歳になる年度を境に、年金額の算出根拠が変わります。

原則、既裁定者は物価変動を、新裁定者は賃金変動を考慮して改定しています。

年金額は物価や賃金の変動具合によって毎年決められているとおさえておきましょう。

6. まとめにかえて

年金を額面で15万円受給している人は全体の46.1%と、決して多くありません。

実際には税金や社会保険料が引かれるため、手取り年金額で15万円以上を受け取るには企業年金や個人年金の活用が必須ともいえます。

老後の生活苦は想像以上に厳しいと予想されます。

十分な資産がなければ「退職してからの生活のほうが苦しい」「健康のことばかりにお金がかかって毎月家計が厳しい」といったことも起こり得るでしょう。

現代では、現役の頃から年金に頼らない資産づくりをするのが重要ですね。

参考資料

石上 ユウキ