6月は2ヶ月に1度の公的年金の支給月です。
老後生活を支える柱の1つが国民年金や厚生年金といった年金収入になるのが一般的ですが、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後を公的年金のみの収入でカバーできる高齢者世帯は44%と半数に満たないことが明らかになっています。
生活費が不足する場合は、貯蓄を取り崩したり、働いて収入を得たりなどして補う必要があるでしょう。
本記事では、その多くが年金暮らしを送るであろう70歳代・二人以上世帯の「貯蓄額」を確認していきます。65歳から年金を受け取り始め、すでに貯蓄の取り崩しが進んでいる世帯もあることでしょう。
こうした背景も含めた上で、70歳代がどれくらいの貯蓄を保有しているのかを見ていきます。また年金生活者のひと月あたりの年金受給額も確認しておきましょう。
1. 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額は1757万円!中央値は?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見てみましょう。
※下記の金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。
1.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、実態に近いとされる中央値は700万円です。
また貯蓄額ごとの世帯割合を見ると、貯蓄ゼロの世帯が19.2%いる一方で、3000万円超を保有する世帯も19.7%と2割ずつを占めていることが分かりました。
貯蓄ゼロの世帯は、取り崩しが進んだ上での数字なのか、あるいは老後を迎える時点で貯蓄がなかったのか。こちらの調査資料ではその要因を読み取ることはできませんが、70歳代を貯蓄ゼロで過ごすことに対する不安は大きいでしょう。
しかし、老後の年金収入だけで毎月の生活費をやりくりできていれば、最低限の暮らしは確保できます。
冒頭で触れたとおり、厚生労働省の調査によると、公的年金による収入だけで老後生活をカバーできている世帯は半数以下となるようですが、実際、国民年金や厚生年金はひと月どれくらい受給できるのでしょうか。
次章で確認していきましょう。