政府は2024年6月5日に行われた「第4回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」において、「パートタイムとして「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得増」を試算・公表しました。

これによると、年収の壁内で働く場合に比べて世帯の生涯可処分所得は1200万円増えるとのことです。

2024年10月には社会保険適用拡大を控え、気になる方も多いのではないでしょうか。

一方で、家庭の事情によって扶養内にとどまることがベストな選択というケースも多々あります。制度の概要や課題について見ていきます。

1. 「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得

政府の試算によると、出産後の働き方として「年収100万円」「年収150万円」「年収200万円」でパート再就職した場合の可処分所得は以下のとおりとなりました。

【写真1枚目/全4枚】パートタイムとして「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得。次の写真ではで比較!出産後の働き方で”生涯可処分所得”はいくら変わるのか徹底比較!

パートタイムとして「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得増

出所:内閣府政策統括官(経済財政分析担当)「女性の出産後の働き方による世帯の生涯可処分所得の変化(試算)」

1.1 ケース1:年収100万円の場合

  • 妻の給与所得:約2700万円
  • 妻の年金所得:約2800万円
  • 夫の配偶者手当受給額:約220万円
  • 夫の配偶者控除・配偶者特別控除による受益額:約200万円

1.2 ケース2:年収150万円の場合

  • 妻の給与所得:約3300万円
  • 妻の年金所得:約3600万円
  • 夫の配偶者手当受給額:なし
  • 夫の配偶者控除・配偶者特別控除による受益額:約200万円
  • ケース1との差額:約1200万円

1.3 ケース3:年収200万円の場合

  • 妻の給与所得:約4300万円
  • 妻の年金所得:約3800万円
  • 夫の配偶者手当受給額:なし
  • 夫の配偶者控除・配偶者特別控除による受益額:約20万円
  • ケース1との差額:約2200万円

試算によると、年収の壁を超えて年収150万円になった場合、扶養内で働いていたときと比べて生涯可処分所得が1200万円増加しています。

さらに年収を200万円まであげると、その差額は2200万円まで拡大するとのことです。

年収の壁を超えるか悩む方は、メリットを強く感じたかもしれませんね。

ただし、本試算は試算根拠を限定しているという点に注意が必要です。