4. 老後に申請をしたい!老後に受け取れるお金を増やす「増額制度」
次に老後に申請したい、老後に受け取れるお金を増やす増額制度を紹介していきます。
4.1 1.年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、年金生活をしている「所得の低い世帯」に対して、生活支援を目的に年金に上乗せされる給付金です。
年金生活者支援給付金は、「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人で一定の要件を満たした場合に給付金が支給されます。
給付額は毎年改定がされており、2024年度の年金生活者支援給付金の給付金額例は下記のとおりです。
【2024年度の年金生活者支援給付金の金額例】
- 老齢年金生活者支援給付金:5310円
- 障害年金生活者支援給付金:1級は6638円、2級は5310円
- 遺族年金生活者支援給付金:5310円
多くの人の場合は、国民年金を受給している人で一定の要件を満たしていれば受け取れる「老齢年金生活者支援給付金」が対象になるでしょう。
老齢年金生活者支援給付金を受け取れる要件は、下記すべてに該当する必要があります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が78万1200円以下
留意点として、障害年金や遺族年金といった「非課税収入」は、所得の合計額の計算に含まないため、合計額を算出する際は気をつけましょう。
4.2 2.高齢任意加入
高齢任意加入は、国民年金の加入期間中である20歳から60歳に達するまでに、未加入期間や未納期間があり、満額受給できない人への救済措置制度となっています。
つまり、現役時代に国民年金の未加入期間や未納期間があるために、満額の老齢基礎年金を受給できない場合、高齢任意加入の申出をすることで、受給額を満額に近づけるのです。
申出が可能な方は、下記の要件に全て該当する場合に限ります。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方または、外国に居住する日本人で60歳以上65歳未満
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が40年(480カ月)未満
- 申出時点で厚生(共済)年金に加入していない
なお、高齢任意加入は、申出月からの加入となり、過去にさかのぼっての加入はできないため、早めの行動が大切となります。
5. 増額制度を賢く利用しよう
本記事では、老後に受け取れる年金額が増額する制度について紹介していきました。
現代社会において、年金のみで老後生活を維持することは難しく、老後の生活費をまかなうためには年金以外の収入源を確保することが不可欠です。
生活費の補填として老後資金を切り崩すのも手段の1つですが、老後は医療費や介護費など大きな出費が想定されます。
そのため、生活費の赤字として老後資金を切り崩す前に、老後に受け取れるお金が増える増額制度を受けられないか検討できると良いです。
まずは、ご自身の受け取れる年金見込み額について「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで確認をしてみましょう。
そのうえで、現状の年金見込額では老後生活が赤字になると感じた方は、今のうちから老後資金の準備をしつつ、増額制度を賢く利用できるよう要件などをしっかりと理解しておけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 全国国民年金基金「国民年金基金制度とは?」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「高齢任意加入」
- 三鷹市「高齢任意加入制度」
- 上三川町「国民年金の高齢任意加入」
和田 直子