6. <元公務員解説>老後の生活に備えておきたいお金
ここからは、元公務員の筆者が「公務員の資産づくり」について解説します。
公務員・会社員、どちらであっても現役のうちに老後資金を貯めておく必要があるのは変わりません。
公務員が使える制度をフルに活用して、老後資産をつくりましょう。
6.1 もしものときに備えて先取り貯金をする
いつ何が起きてもよいように、余った給与は優先的に貯金に回しておくとよいです。
筆者が勤めていた自治体では、相次ぐ公共施設の建て替えによる支出増や人口減による税収減少により、数年間給与削減が行われました。
自身ではどうすることもできない外的要因により、公務員でも減給になる可能性は十分あります。
もしものときに備えて貯金を優先的にしておけば、将来の生活で苦しむことは少なくなるでしょう。
6.2 共済貯金を使う
公務員が貯金を中心に資産づくりする際に活用したいのが「共済貯金」です。
共済貯金は、公務員が利用できる高利率の積立貯金制度です。給与天引きで1000円から積立できます。
共済貯金は銀行の定期預金よりも利率が高いのが特徴です。共済貯金と銀行の定期預金で、利率を比較してみましょう。
メガバンクやネット銀行の普通預金、定期預金と比べると、共済貯金の利率の高さが目立ちます。
毎月の給与で少額から積み立てられるため、若い頃から積み立てていれば相応の老後資金を貯められます。
とはいえ、共済貯金の利率は0.5%〜1.5%であり、貯金するだけで劇的にお金が増えるものではありません。そこで筆者は、次に紹介する制度を活用しました。
6.3 iDeCoを使う
iDeCoは、公務員にとって貴重な老後資産形成ツールです。
公務員は原則副業が禁止されていますが、投資に関しては法に触れなければ許可されています。
公務員の場合、iDeCoは月額1万2000円まで掛金を拠出できます。
年間で最大14万4000円を運用できるため、定年退職まで積み立てれば数百万円以上の資産がつくれます。
加えて節税効果もあるため、税負担を減らすことも可能です。
筆者が公務員のときは最低金額の毎月5000円で積み立てていました。
より効率よく資産形成するならば、NISAの併用もおすすめです。
筆者も公務員時代からNISAを始め、iDeCoとあわせて資産形成をしています。
7. まとめにかえて
公務員の退職金は大企業の退職金よりも少ないという比較結果のとおり、決して「もらいすぎ」ではありません。
物価上昇も影響し、もはや「一生安泰」とはいえない金額になっています。
そのため、公務員も会社員と同様に老後資産づくりに注力する必要があります。
貯金だけでインフレに立ち向かえないようであれば、資産運用や節税などで賢く老後に備えるとよいです。
「税金が給料になる公務員が節税とは何事か」と思う人もいるかもしれません。
しかし、公務員も会社員も同じ社会人。家計のやりくりや老後資産づくりは誰もが当たり前に行うべきことです。
退職金だけをあてにせず、自分で資産をつくって老後に備えましょう。
参考資料
- 人事院「2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の申込状況」
- 人事院「おしえて!人事院」
- 人事院「令和5年国家公務員給与等実態調査」
- 総務省「令和5年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
- 人事院「給与勧告の仕組み」
- 総務省「地方公務員の給与改定の手順」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 中央労働委員会「令和5年賃金事情等総合調査」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業年報 概要」
- 地方公務員共済組合連合会「年金払い退職給付制度に係る付与率・掛金率等について」
- 神奈川県市町村職員共済組合「貯金事業」
- auじぶん銀行「円普通預金」
- 三井住友銀行「スーパー定期・大口定期」
- iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」
石上 ユウキ