3. 2024・2025年度に段階的に値上げに

後期高齢者医療制度の保険料は、2024年度・2025年度の2年間にかけて段階的に増額されます。

後期高齢者医療制度の保険料(2022~2025年度)

後期高齢者医療制度の保険料(2022~2025年度)

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」をもとに筆者作成

保険料のうち、「均等割額」は2022・2023年度は年額4万7777円でしたが、2024年度・2025年度には5万389円を負担することになり、2612円の増額です。

所得割率は、これまで9.34%であったものが2024年・2025年には0.87ポイント引き上げられ、10.21%になります。

これらにより、平均保険料額は2022年度・2023年度では年額7万8902円でしたが、2024年度には8万4988円となり6083円の増額に。さらに、2025年度には8万6306円になり2024年度よりも1318円の増額です。

被保険者が負担する保険料の上限額(賦課限度額)は、昨年度までは66万円でしたが、2024年度は73万円まで、2025年度には80万円までと段階的に引き上げられます。

なお、厚生労働省によると、年金収入が153万円相当以下の約6割にあたる方は、今回の制度改正による保険料の増額はありません。また、年金収入が211万円相当以下の約12%の方は、2024年度の保険料の増額はないとされています。保険料が増額されるのは、75歳以上の約4割の方になるとの予測です。

具体的にいくら増額されるのかは、年収により以下のように異なります。

《試算》後期高齢者一人当たり保険料額(2年間)への影響ー収入別ー

《試算》後期高齢者一人当たり保険料額(2年間)への影響ー収入別ー

出所:厚生労働省「医療保険制度改革について」をもとに筆者作成

年収が80万円の場合は、今回の制度改正で保険料の増額はありません。200万円の場合は、2024年度は増額なしですが、2025年度には3900円増額され9万700円になります。

400万円の場合は、2024年度には1万4000円の増額で23万1300円になり、2025年度も引き続き同額の負担です。1100万円の場合は、2024年度には6万円増額され73万円に、2025年度にはさらに7万円増額で80万円となります。

4. まとめにかえて

75歳以上の方が納める後期高齢者医療制度の保険料は、出産育児一時金の財源に充てることや、現役世代の保険料納付負担を軽減するためといったことを理由として、2024年度・2025年度の2年間にわたり増額されます。

具体的にいくら増額されるのかは年収により異なり、高年収な方ほど増額の影響が多くなります。保険料支払い負担を考慮して、家計費を調整するなどして備えておきましょう。

参考資料

木内 菜穂子