2023年5月に健康保険制度が改正されたことで、75歳以上の方が負担する後期高齢者医療制度の保険料が、2024年度・2025年度と段階的に増額されます。
2024年度の公的年金は2023年度よりも原則として2.7%増額されていますが、年金から天引きされる保険料が増えると、手取り金額がその分少なくなってしまいます。
貴重な年金から天引きされる金額が増えてしまうため、どうして増額になるのか、理由を知りたい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、後期高齢者医療制度の保険料が増額される理由や、具体的にいくら増額されるのかなどについて解説していきます。
1. 後期高齢者医療制度とは
後期高齢者医療制度とは、「健康保険法等の一部を改正する法律(2006年6月21日公布)」により2008年4月から開始された医療制度で、以下に該当する方が加入対象者となっています。
- 75歳以上の方
- 65歳以上75歳未満で一定の障害のある方
原則として、75歳の誕生日当日から自動的に加入することになり、65歳以上75歳未満の方の場合は、広域連合の認定を受けた日からの加入となります。
医療費等の窓口で支払う際の負担割合は、所得に応じて1割〜3割のいずれかです。
後期高齢者医療制度に加入している方のうち、一般所得者等は原則1割負担ですが、2022年10月1日から、一般所得者等のうち一定以上の所得がある方は2割負担に変更されています。なお、現役並み所得者は3割負担です。
後期高齢者医療制度の保険料は、所得に応じて負担する「所得割」と、誰もが等しく負担する「被保険者均等割」で構成されています。原則として、同じ広域連合の区域内では同じ保険料率となっており、2年ごとに見直されます。
そして、2023年5月に健康保険制度が改正されたことを受け、2024年度と2025年度の2年にわたり、後期高齢者医療制度の年間保険料が引き上げられることになったのです。
ではなぜ後期高齢者医療制度の保険料が引き上げられることになったのか。次章でその背景を確認していきましょう。