2. 保険料が値上げされることになった背景とは

今回、2024年と2025年に後期高齢者医療制度の保険料が段階的に値上げされることになった背景として、主に以下の理由があります。

  • 出産育児一時金を引上げるための財源のため
  • 現役世代の負担軽減のため

2.1 出産育児一時金を引上げるための財源のため

健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産した際には、出産育児一金が支給され、従来は原則42万円でしたが、2023年4月から50万円に引き上げられました。

出産一時金の財源の多くは、現役世代の医療保険などが充てられてきましたが、将来的に現役世代の人口が減少することが予想されます。そのため、これからは後期高齢者も含めた社会全体で子育てを支援する仕組みを構築するために、後期高齢者医療制度からも財源の一部を負担することになったのです。

2.2 現役世代の負担軽減のため

高齢者医療制度の財源は、年間にかかる医療費の5割を国や自治体などの公費から支出しています。そして、4割を現役世代からの「後期高齢者支援金」が財源に充てられています。なお、後期高齢者が納める保険料は1割です。

後期高齢者医療給付費

後期高齢者医療給付費

出所:厚生労働省「医療保険制度改革について」

1人当たりが負担する保険料は、2008年の制度開始以降、高齢者が1.2倍になったのに対し、現役世代は1.7倍にも増加しており、大きな負担差が生じています。

そこで、後期高齢者が1人当たり負担する保険料と、現役世代が1人当たり負担する後期高齢者支援金の伸び率が等しくなるように見直されることになったのです。その結果として、後期高齢者が負担する保険料が増額されることになります。

では、後期高齢者医療制度の保険料はどれくらい増額されたのか。次章で確認していきましょう。