3. 年収600万円の人の老後生活
年収600万円の人の年金額と老後生活について、モデルケースを使って解説します。
3.1 年収600万円の人の年金額
次のモデルケースを使って、年収600万円の人の年金額を計算してみます。
- 2003年4月以降に初めて厚生年金に加入し加算はない
- 20歳から60歳まで厚生年金に加入
- 毎月の報酬は50万円でボーナスはなし(=平均標準報酬額50万円)
年金額を試算すると次の通りです。
- 老齢基礎年金=81万6000円✕480ヶ月/480ヶ月=81万6000円
- 老齢厚生年金=50万円✕5.481/1000✕480ヶ月=131万5440円
- 年金額合計=81万6000円+131万5440円=213万1440円(月17万7620円)
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上男性の老齢厚生年金受給権者の平均年金額は16万7388円です。
モデルケースの年金額は、平均を1万円ほど上回っています。
3.2 老後生活は安泰?
単身者の場合、年金額が月17万7620円ならば、平均的な支出額(15万7673円)はカバーできます。
ただし、介護施設・老人ホームへの入所や家の修理、車の買い替えなど大きな出費がある場合、「貯金無しで老後生活は安泰」とは言いづらいところです。
夫婦2人世帯(平均収入24万4580円、平均支出28万2497円)の場合、配偶者の年金が月10万以上あれば毎月の家計収支はトントンです。
配偶者の年金が少なかったり、大きな出費があると家計収支は厳しくなります。
4. 想定外の出費で生活費が膨らむと、年金だけでは生活が厳しいかも
年収600万円(平均標準報酬額50万円、厚生年金に40年加入)の人の年金額は、月17万7620円です。
生活費や配偶者の年金額にもよりますが、貯金がなくても毎月の支出を年金だけである程度賄えるでしょう。
しかし、想定外の出費が発生したり生活費が膨らむと、年金だけでは生活が厳しいかもしれません。
安心して老後生活を送るには、年金以外の収入を得るかある程度の貯金が必要です。
また、現在の年収が600万円でも入社初期の年収を考えると平均年収が下がり、年金額は想定より低くなることもあります。
ねんきんネット(日本年金機構のインターネットサービス)などで年金見込額を確認しておきましょう。
【編集部よりご参考】
記事において厚生年金の平均額をご紹介しました。
年金は個人差が大きいのが特徴です。
参考までに、厚生年金受給額ごとの人数をご紹介します。
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
参考資料
- 総務省「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均速報結果の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド令和6年度版」
西岡 秀泰