2024年度は公的年金の支給額が2.7%増額される運びとなりました。
止まらない物価上昇も一因となっており、ロシア・ウクライナ情勢による物流難、円安による輸入コストの増加など、日本経済に懸念の声が広がっています。
今回、公的年金が2.7%増額されたことは喜ばしいことではありますが、それでも近年の物価上昇を見ていると年金に対する不安を感じる人も少なくないと思います。
老後生活において年金は大切な収入源でもあり、まずはその実態を理解しておきたいところです。
平均受給額がいくらなのか、そこからどういったものが天引きされるかなどについて把握していれば、老後生活をイメージするきっかけにつながるかもしれません。
本記事では年金支給日、天引きされる内容などを確認し、公的年金に関する知識を深めていきましょう。
1. 次回の年金支給日は6月14日(金)
公的年金は2ヶ月に1度、偶数月15日(土日祝の場合は直前の平日)に振り込まれます。
【写真全4枚中1枚目】年金支給日カレンダー/厚生年金・国民年金の平均受給額はいくら?次ページ以降ではお金のプロが老後への資産形成にアドバイス1/4
出所:日本年金機構「Q年金はいつ支払われますか。」をもとにLIMO編集部作成
1.1 【2024年】公的年金の支給日:支給対象月
- 2024年2月15日(木):2023年12月分・2024年1月分
- 2024年4月15日(月):2024年2月分・2024年3月分
- 2024年6月14日(金):2024年4月分・2024年5月分
- 2024年8月15日(木):2024年6月分・2024年7月分
- 2024年10月15日(火):2024年8月分・2024年9月分
- 2024年12月13日(金):2024年10月分・2024年11月分
2ヶ月分がまとめて振り込まれることから、一回の入金額は多く見えるかもしれません。
せっかくの資金を誤って1ヶ月で使い込んでしまうことのないように、家計管理はしっかり行いましょう。
また、年金は給与と同じように税金や保険料がかかります。
次章からは、年金から天引きされるお金について解説していきます。
2. 年金から天引きされるお金とは
ここからは、公的年金から「天引き」されるお金を確認しましょう。
基本的に、年金は下記の4つのお金が天引きされます。
- 所得税および復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 健康保険料・後期高齢者医療保険料
次の章から、順番に見ていきます。
3. 「国民年金・厚生年金」から天引きされるお金4つ
「国民年金・厚生年金」から天引きされる4つのお金について解説していきます。
3.1 所得税および復興特別所得税
公的年金は「雑所得」として扱われ、一定額以上を受け取ると、所得税を支払うことになります。
「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、復興特別所得税もかかります。
ただし、公的年金のみの収入で以下の条件を満たす場合、所得税は非課税となります。
- 65歳未満:108万円以下
- 65歳以上:158万円以下
また、障害年金や遺族年金を受給している場合も、所得税は非課税です。
3.2 個人住民税
住民税は、前年中の「所得」に対してかかる税金で、一定額以上の年金を受給している場合に課税対象となります。
なお、所得税と同じく障害年金や遺族年金を受給している場合は住民税非課税となります。
住民税非課税世帯となる要件は、自治体ごとに異なりますので、詳細はお住まいの自治体HPや窓口にてご確認ください。
3.3 介護保険料
介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料に含まれます。
65歳以降になると、介護保険料は健康保険料から切り離され、単独で支払うことになります。
そして、年間の年金支給額が「18万円以上」の場合は天引きされることになります。
介護保険料は、介護認定の有無や年金支給額を問わず支払い義務があります。
3.4 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
75歳以上は「後期高齢者医療保険」という健康保険に切り替わり、年間の年金支給額が「18万円以上」の場合に年金から天引きされることになります。
国民健康保険と後期高齢者医療保険はどちらか一方への加入となります。
このように、基本的に年金からは税金や保険料が天引きされますが、なかには天引きされないケースも。
年金から税金や保険料が天引きされないケースについて、次章から解説していきます。
4. 年金から天引きされないケース
ここからは、税金や保険料が年金から天引きされないケースについて解説していきます。
4.1 所得税および復興特別所得税
収入が公的年金のみの場合、所得が一定額以下なら課税対象になりません。
65歳未満は受給額「108万円以下」、65歳以上は受給額「158万円以下」の場合は天引きされることはありません。
なお、遺族年金や障害年金は非課税となるため所得税等は非課税となります
4.2 個人住民税
個人住民税も同様に、非課税の要件に該当する人は天引きされません。
非課税になる所得については自治体ごとに目安額が異なります。
また、下記に該当する場合にも年金からの天引きはありません。
- 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
- 介護保険料が公的年金から天引きされない
- 天引きする税額が老齢基礎年金等の年額を超える
天引きされるのは公的年金の雑所得にかかる税額のみとなっています。
天引きされないとはいえ、非課税でない限り支払い義務は残ります。
天引きではない場合は「普通徴収」となり、口座振替や納付書等で納税することになりますので、詳細はお住まいの自治体窓口に確認してみるとよいでしょう。
4.3 保険料
税金は所得などの条件に応じて非課税となりますが、介護保険料や健康保険料には必ず支払い義務が発生します。
年額が18万円に満たない場合は天引きされず、普通徴収で納税することになります。
次章では、2024年度の年金額を確認していきます。
5. 次回支給日より増額!2024年度の年金額はいくら?
厚生労働省より公表された、2024年度の年金額モデル例を確認してみましょう。
5.1 2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)月額
- 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
- 厚生年金※:23万483円(+6001円)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合の「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。
上記の厚生年金は夫婦分のモデル例となっており、1人分に換算すると16万2483円です。
あくまで標準的な夫婦の目安額となっているため、ご自身がいくら受け取れるのかは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。
6. FPからマネープランの提案
FPからマネープランの提案2/4
maroke/istockphoto.com
公的年金の平均受給額や天引きされる内容を確認してみて、老後生活がイメージできましたでしょうか。
「思っていたよりも多かった」と感じる人よりも、「このままでは老後生活が心配だ」と感じる人が大半だと思います。
また、本記事では現状の年金制度をもとにご説明しましたが、将来的に年金受給額が減る可能性が示唆されています。
そんな中でこのまま何もせずに老後を迎えるのは不安が残ります。
普段ファイナンシャルアドバイザーをしている筆者がおすすめできる老後の備えは「私的年金」を作り出すことです。
老後生活を充実させるため国や企業が私的年金の制度を拡充しており「iDeCo」もその一つです。
iDeCoは自分たちで積み立て運用を行い、積み上げた資産を60歳以降に一括または分割で受け取る制度です。
あくまで一例としてのご説明でしたが、ほかにも「個人年金保険」や「変額保険」など、保険商品として老後に向けた資産形成ができる商品もあります。
公的年金だけでは不十分な状況になっているため、自分に合った私的年金を活用し、早いタイミングからスタートしていくことが大切です。
もちろんリスクはつきものですが、時間をかけて積み立てることで大きな利益につながる可能性が高まっていきます。
理想の老後生活を実現するための対策として、自分に合った私的年金の制度を確認してみましょう。
7. 【参考】厚生年金・国民年金の平均月額
最後に、参考として厚生年金と国民年金の平均月額を一覧表で見てみましょう。
7.1 【厚生年金】男女別・年金月額階級別受給権者数
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
7.2 【国民年金】男女別・年金月額階級別受給権者数
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
参考資料
川勝 隆登