金融庁が令和元年に出した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」を踏まえて「老後に向けて2000万円の資産形成が必要」との考え方が広がっています。
しかし、2024年5月24日に総務省が公表した「2020年基準消費者物価指数 全国2024年(令和6年)4月分」によると、総合指数は前年同月比で2.5%の上昇。
どんどん物価があがる現代において、この「2000万円」の金額がそのままなのか疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
当時の指摘でもありましたが、そもそも「2000万円」がすべての人にあてはまるわけではありません。
あながち間違えではありませんが、いくつかの前提や選択肢を踏まえて適切に現状を捉える必要があります。
くわしくみていきましょう。
1. 金融庁が発信した「老後2000万円問題」とは?
「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」では、次のような言及がみられます。
「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約1300万円、30 年で約2000万円の取崩しが必要になる。支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要である。」
引用:金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」」
もし30年間年金収入のみに頼って老後生活を送った場合、2000万円の不足が発生するという見方に。
これが世間に広まり「老後生活のために2000万円の資産形成が必要」であることを意味する「老後2000万円問題」として認知されるようになりました。
ここで、老後2000万円問題の前提を整理してみよう。