4. 老後に向けて今からできること
今回は60歳代の年金の平均受給額や貯蓄額を確認してきました。結果、60歳代の約3割が「貯蓄2000万円以上」を有していることが分かりました。
一方で、60歳代の貯蓄中央値は700万円となっており、多くの世帯が老後に不安を抱えながら生活している側面もありそうです。
65歳以上無職夫婦の生活費は毎月約3万円の赤字になることも分かっており、現役時代からの計画的な貯蓄が必要不可欠となっています。
家計を見直して計画的に貯蓄していくには、お金の専門家に相談するのも有効です。
近年では新NISAやiDeCoが登場し、個人でも資産運用に挑戦する人が増えてきました。
また、公的年金の不足をカバーするために個人で「私的年金」に加入する人も増加傾向にあります。
具体的な商品選定など個別のお金の相談については、プロの意見を聞いてみるのもよいでしょう。
豊かな老後生活を送るためにも、今から実現可能な資産形成の計画を立てておけると安心ですね。
5. 貯蓄に関連するご質問(FAQ)
よくある「貯蓄」に関連するご質問です。
5.1 Q1.「貯金」と「貯蓄」はどう違う?
「貯金」は、現金を自分で貯めること、あるいは銀行などの金融機関に預けることを指します。金融機関によっては「預金」ということもあり、貯金・預金、そして2つを合わせて「預貯金」というケースもあります。
一方、貯蓄は、貯金に加えて投資信託や株式、債券、外貨預金、不動産、保険、金(ゴールド)などの金融資産全般を指します。ただし、「貯蓄=貯金」を指す場合もあり、考えはさまざまです。
5.2 Q2.「貯蓄」と「投資」はどう違う?
「貯蓄」は、銀行の普通預金や定期預金など安全性重視の金融商品にお金を貯めていくことを指します。一方、「投資」は、投資信託や株式など元本割れリスクを伴う金融商品にお金を投じて資産を増やすことを目的としています。
広義では、貯蓄に投資信託や株式、債券、外貨預金などを含む場合がありますが、「貯蓄と投資」で区別する場合には、以下のように使い分けるのが一般的です。
- 貯蓄=元本割れリスクなし(普通預金・定期預金など)
- 投資=元本割れリスクあり(投資信託・株式・債券・外貨預金など)
5.3 Q3.「貯蓄」も「資産運用」に含まれる?
「資産運用」とは、資産(お金)を金融商品を通じて効率的に増やす、あるいは貯めていくことを指します。
一般的に、投資信託や株式などにお金を投じて利益を期待することを資産運用という場合が多いようですが、銀行の普通預金や定期預金などで得られる利息も、お金を運用することによって得られるものですので、資産運用となります。
貯蓄は、広義では預貯金や投資信託、株式、債券、外貨預金、不動産、保険などの金融資産全般を指しますので、資産運用には貯蓄も含まれるということになるでしょう。
- 資産運用=金融商品を通じて資産(お金)を効率的に増やす、あるいは貯めていくこと
- 貯蓄=預貯金や投資信託、株式、債券、外貨預金、不動産、保険などの金融資産
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「知るぽると」
- 一般社団法人 全国銀行協会「Q.「貯蓄」と「投資」はどう使い分けるのですか?」
- 金融庁「投資の基本」
- 日本証券業協会「資産運用とは?」
中本 智恵