3. 【老後の収入】国民年金・厚生年金の平均受給額はいくら?
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度末現在の国民年金と厚生年金の平均受給額は次のとおりです。
3.1 国民年金(老齢基礎年金)
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
現役時代を自営業者や農業者、無職で過ごし、一度も厚生年金に加入したことがない方は、老後に国民年金のみを受給することになります。
国民年金の受給額は、加入義務期間となる20歳以上60歳未満の40年間(480ヶ月)における保険料の納付月数で決定。未納・免除期間がなく全ての保険料を納付した場合に、老後、満額を受給することができます。
未納・免除期間がある場合には満額から減額される仕組みです。
参考までに、2024年度の67歳以下新規裁定者の国民年金の満額は月額6万8000円です。
国民年金のみの収入で老後の生活費をカバーするのは容易ではないでしょう。貯蓄を十分に確保し、安心して老後を迎えたいですね。
3.2 厚生年金
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生年金は、厚生年金保険適用事業所に勤める一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せする形で加入する年金です。
主に会社員や公務員などが該当します。
上記の年金月額には国民年金部分が含まれるため、国民年金の平均年金月額と比較すると手厚い印象を受けるでしょう。
国民年金に上乗せされる仕組み上、たしかに国民年金のみを受給する人より月額が高い傾向にあります。しかし、上乗せ部分は現役時代の厚生年金保険加入期間と年収によって決定するため、受給額は人によってマチマチです。
老後、自分がどれくらい受給できるのか予測しづらいため、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」に記載されている見込受給額を参考にしましょう。
4. おひとりさま世帯の平均的な老後生活は「約3万円の赤字」
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」より、65歳以上おひとりさま世帯の平均的な年金暮らしにおいて、毎月3万768円の赤字になることが分かりました。
内訳は以下のとおりです。
4.1 収入
収入:12万6905円(うち社会保障給付11万8230円)
4.2 支出
消費支出:14万5430円
- 食料:4万103円
- 住居:1万2564円
- 光熱・水道:1万4436円
- 交通・通信:1万5086円
- 保健医療:7981円
非消費支出:1万2243円
支出合計:15万7673円
1ヶ月の家計収支:▲3万768円
収入も生活費も貯蓄額も、それぞれ個々で異なるものですが、平均的な暮らしにおいて毎月3万円もの赤字になる状況は見過ごせません。
近年は、物価上昇、社会保険料の負担増など、支出が膨らみ続けています。
こうした状況にも対応できるよう、やはり貯蓄は必須といえるでしょう。
貯蓄にまで手が回らない世帯は少なくないと想像できますが、老後に向けて少しずつ資金を蓄えていきたいものです。
参考資料
- 内閣官房 就職氷河期世代支援推進室「就職氷河期世代の就業等の動向」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
和田 直子