5. 年金受給者にも関係のある「定額減税」
6月から開始した定額減税により、納税者と配偶者を含めた扶養親族1人につき所得税(3万円)と住民税(1万円)が控除されます。
これにより、給与所得者は毎月の手取り額が若干あがることになるでしょう。
実は、課税されている年金受給者でも同じことが起こります。
例えば、1回あたり1万2000円の所得税が源泉徴収されていた人のケースを確認します。
この場合、6月と8月支給の年金からは所得税の天引きが行われないため、この分の手取りがアップします。
次の10月支給分ですが、減税枠として残っているのは6000円なので、こちらが減税されます。残りの6000円は源泉徴収が再開し、続く12月支給の年金では1万2000円が源泉徴収されるという流れです。
また、住民税については2024年10月支給の年金から減税が行われるスケジュールとなっています。不明点がある場合は自治体窓口で確認しましょう。
減税分については年金振込通知書等で確認できます。
6. まとめにかえて
年金額をあまり知らないという方は、年齢別の年金額を見ていろいろな気づきがあったのではないでしょうか。
平均額からわかる特徴を挙げると、
- 厚生年金より国民年金の方が少ない
- 厚生年金は若い人ほど金額が下がっている
などがわかりました。
もちろん、個別の年金額はそれぞれで確認する必要があります。多くの方はねんきん定期便をしっかり確認していると思いますが、まだ見たことがないという方は一度見てみてください。
意外に少ないと気付いたら何らかの対策が必要になるでしょう。
定額減税も含め、公的な制度は知っておいて損はありません。日頃からしっかりアンテナをはり、情報収集を行ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
太田 彩子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
担当分野
主に金融と社会保障分野の記事を執筆。厚生労働省管轄の公的年金(厚生年金保険と国民年金)、公的年金制度の仕組み、社会保障、医療保険制度、貯蓄に関する情報を幅広く網羅し、政策の変遷、年金受給資格の詳細、最新の制度改革に焦点を当てた記事を執筆している。
また年金制度の仕組み、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなどをテーマに企画・編集・執筆も行う。
経歴
京都教育大学卒業。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトや乗合保険会社の商品ページ、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営するくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部で、金融と社会保障分野の記事を執筆している。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
スタンス
厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)、日本年金機構など、信頼性の高い官公庁の情報を基に、読者のマネーリテラシー向上やキャリアの選択、老後や将来設計に役立つ情報提供を心掛けている。出産や小1の壁で離職した経験から、女性のキャリアに関する情報も幅広く発信。専門的で信頼性の高い情報提供を目指す。
更新日:2024年9月4日