4. 国民年金「月額15万円以上」は不可能?
厚生労働省の同調査によると、国民年金の平均額は以下のとおりです。
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
なお、国民年金は40年間の保険料を納めた満額でも6万8000円(2024年度の水準)。仮に75歳まで繰下げ受給をしたとしても、15万円に増やすことはできません。
国民年金のみの加入者も母数に含めると、年金15万円以上の割合はさらに減るでしょう。
5. 老後に向けて備えたいこと
最後に、今後の長い人生を考える上で備えたいことを、筆者のこれまでの相談をもとに2つピックアップしてみました。
5.1 資産運用
多くの方は、年金だけでは不足してしまうケースにあてはまるでしょう。年金に頼るのではなく、自助努力は少なからず必要となります。
貯金も大切ですが、合わせて取り入れていきたいのが「資産運用」です。資産運用は、貯金とは違い手元の資金を増やしていくことが可能です。
もちろん運用なのでリスクは伴いますが、貯金では不足する部分を補っていくことができるでしょう。
5.2 身体の健康
上記の資産運用と合わせて考えたいのが健康面への備え、つまり生命保険です。老後のことを考えると主にお金事情に目が行きがちですが、健康面はとても重要になります。
なぜなら、健康な身体あってこその資産運用だからです。もし、老後の為に資産運用をしていても大きな病気になってしまって働けなくなってしまっては、収入が途絶え、そもそも資産運用が続けられなくなってしまいます。
こういった不測の事態が起きてしまった場合でも資産運用を続けられる仕組みは、持っておいた方がより安心できます。
実際に筆者がご相談を受けた方の中で、健康については考えていなかったとハッとされることもしばしばです。
とはいっても、上記の備えは人によって違いはあることでしょう。そこでまずは自分には何が準備として合っているのか知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
6. まとめにかえて
「厚生年金で月額15万円以上」を受け取る人がどのくらいいるのか確認しました。
厚生年金として月額15万円以上受け取っている人の割合は46.1%で、半数にも満たないという結果に。イメージと違った方もいるのではないでしょうか。
政府は複数パターンでモデル年金を提示しましたが、大切なのは個々の見込額を知ることです。ねんきんネットなどで確認し、正しく老後に備えていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
大庭 新太朗