3. 【疑問】妻が年度の途中で「103万円の壁」を超えたら?

定額減税の「補足給付金」を確認しましたが、6月の段階では専業主婦や扶養内パートなどで定額減税の対象です。

夫と合わせて6万円減税が行われていたとして、12月の時点で「103万円の壁」を超えた場合はどうなるのでしょうか。

結論から言うと「減税されていた3万円は返す」ことになるでしょう。

【写真全2枚中1枚目】年調年税額計算の流れ

【写真全2枚中1枚目】年調年税額計算の流れ

出所:国税庁「令和6年分所得税の定額減税のしかた」

年度途中で起きた変化については「年調減税」で修正されると覚えておくとよさそうです。

4. 【疑問】ふるさと納税や住宅ローン控除はどうなる?

定額減税は、住宅ローン控除後の金額から減税されます。

そのため、住宅ローン控除の控除枠が無駄になることはありません。

この仕組みにより、定額減税制度の対象者であっても住宅ローン控除を受ける人は、控除枠が有効に活用されます。

つまり、住宅ローン控除を受ける人にも「定額減税制度」の影響が及ぶこととなります。

また、ふるさと納税については、定額減税による影響はありません。ふるさと納税の計算においては「定額減税をされる前」の所得で上限額が決定されます。

そのため、今までどおり所得に応じた限度内でふるさと納税を楽しむことが可能です。

5. まとめにかえて

「定額減税」はスタートしたばかりであり、まだ議論を重ねている段階です。

物価高が続くなかで、今後の動向によっては期間の延長や別の手段での減税が行われるかもしれません。

【写真全2枚中2枚目】所得税が「定額減税」される仕組み(図解)

所得税が定額減税される仕組みの図

出所:国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」

今回の「定額減税」のように恩恵を受けられる税制は嬉しいものですが、国の制度は変化していくもの。

常にアンテナを高くたもつ必要があり、さらに申請や手続きが必要な税制もあるため注意しましょう。

難しいからといって使える制度を使わないのは、非常にもったいないことです。受けられる恩恵はしっかり享受できるよう、日々情報を収集していきたいですね。

参考資料

足立 祐一