4. 60代世帯の「働く理由」で最も多いのは

ここでは、2019年6月時点の収支をみていきます。

2019年6月の世帯収入は平均35万5000円、生計費は平均25万6000円で、約10万円の黒字となりました。

このデータをみると、老後の生活は意外と余裕があるかもしれません。しかし、年金も今後は減額される可能性も議論になっており、安心はできません。

同調査では、60歳以降の就業者が回答した「働いた理由」のうち、最も多かったのが「経済上の理由」で76.4%と群を抜いて多かったのです。

次いで「いきがい、社会参加のため」(33.4%)、「時間に余裕があるから」(22.6%)などとなりました。

年齢層別にみると、60~64歳層に比べ65~69歳層では「経済上の理由」の割合が低くなり、「時間に余裕があるから」をはじめ他の理由が多くなっています。

また、男女別には、「健康上の理由」は男性の方が多く、「いきがい、社会参加のため」などは女性の方が多くなりました。

5. 65歳以降も「働く意思がある」半数以上に

同資料では、60~64歳で働いている人を対象に、65歳以降の働く予定を調査しました。

それによると、「採用してくれる職場があるなら、ぜひ働きたい」が30.5%、「すでに働くことが(ほぼ)決まっている」が25.6%、「まだ決めていない。わからない」が27.2%、「仕事はしたくない。仕事からは引退するつもり」が7.0%などとなりました。

【図2枚目/全2枚】65歳以上の働く予定は?

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.19960代の雇用・生活調査」

65歳以降も働きたい人が一定数いることがわかります。

また、2014年調査と比較すると、「採用してくれる職場があるなら、ぜひ働きたい」(13.5%→30.5%)と「すでに働くことが(ほぼ)決まっている」(15.9%→25.6%)の割合が大きく上昇。

一方、「まだ決めていない。わからない」(31.4%→27.2%)、「仕事はしたくない。仕事からは引退するつもり」(11.7%→7.0%)の割合は低下しています。ちなみに、男女とも同じ傾向であり、高齢者の雇用が浸透してきていることがわかります。

老後の生活の基盤となる資金を作るのはもちろん、健康のためにも働きたいと考えている人が多いのかもしれません。豊かな老後を過ごすためにも、心身の健康を維持することは重要であるといえそうです。

参考資料

齊藤 慧