2. 50歳代の貯蓄格差が約800万円…なぜこんなに差がある?
50歳代は一般的に収入がピークに達する年代です。
貯蓄額1000万円以上が約3割いる一方で、平均と中央値には約800万円もの差があり、貯蓄格差が大きいことが分かりました。
この年代の貯蓄状況には、以下のような複数の要因が絡み合っていると考えられます。
2.1 ①収入
まず、貯蓄が多い世帯について考えてみましょう。
一般的に50歳代はキャリア的にも管理職になっていることが多く、収入も最高額に達している世帯が多いです。
これにより、貯蓄額が大幅に増える世帯があり、結果的に貯蓄格差が生まれるひとつの要因となっていることが考えられます。
2.2 ②教育費や住宅ローン
収入がピークに達する一方で、多くの世帯では子の教育費や住宅ローンの返済が重なる時期でもあります。
これらの出費が大きいため、思うように貯蓄が進まないという世帯も見られます。
50歳代はとくに教育費負担が大きくなってくる年代でもあります。また、50歳代後半になってくると子の結婚に伴って婚姻費用を援助するという世帯もあるでしょう。
2.3 ③老後の準備
50歳代はもっとも強く定年退職を意識する年代であり、老後に向けた資産形成が重要になる時期でもあります。
退職後の生活を見据えて、積極的に貯蓄や投資を行う人も増えてきます。
貯蓄や投資をいち早く始めた世帯では、短期間で資産が大幅に増える人もいるでしょう。
また、年金生活に入る前に十分に貯蓄しておくためにも、家計を見直して支出を減らす世帯もあります。
これにより貯蓄が増える世帯が出てくることも、ひとつの要因として挙げられます。
2.4 ④生活水準の差
貯蓄格差のもっとも大きな要因として、収入の差、生活費の差、支出管理の差などが考えられます。
高収入の人でも、支出が多ければ貯蓄が増えないこともありますし、逆に中低収入でも、節約を徹底して貯蓄を増やしている人もいます。
こういった生活水準の差が貯蓄格差につながっていることも考えられます。
参考までに、以下に50歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧を記載しています。
貯蓄1000万円以上が約3割いる一方で、貯蓄ゼロ(金融資産非保有)という世帯もほぼ同割合で確認できます。
思うように貯蓄できていないと感じる人は、支出の見直しを最優先として、副業や投資などで収入源を増やす方法も検討してみましょう。
2.5 【ご参考】50歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:27.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:6.4%
- 200~300万円未満:3.8%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:3.8%
- 500~700万円未満:5.6%
- 700~1000万円未満:5.5%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.2%
- 2000~3000万円未満:5.4%
- 3000万円以上:11.2%