3. 高齢者世帯の56%が年金だけで生活できない

厚生労働省が公表した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金収入だけで生活している人は、全体の44%でした。

高齢者世帯の56%が年金だけで生活できていないことがわかります。

公的年金の総所得に占める割合

公的年金の総所得に占める割合

出所:厚生労働省 2022(令和4)年「国民生活基礎調査の概況」

近年は年金を受け取りながら働く高齢者も増加傾向にあります。

しかし、体力や健康面を考慮すると、「年金が少ないから働く」という選択はリスクが高いでしょう。

4. まとめにかえて

本記事では、70歳代の貯蓄事情とシニア世代の年金事情を確認しました。個人差があるものとはいえ、全体的に公的年金の支給額は十分とはいえない水準です。公的年金だけで老後生活をカバーできている高齢者世帯が半数に満たないのは当然といえるでしょう。

いまの日本は少子高齢化が加速しており、将来的にはさらに年金の給付水準が下がると考えられます。また、厚生年金は現役時代の加入期間や年収によって、受け取れる受給額が変わります。

現役世代の人たちは、老後は年金だけで生活できないことを前提に、いまから老後資金を確保していく必要があると言えます。

老後の収入について不安を感じる方は、現役時代の早いうちから老後の生活費について試算し、準備をしておくことです。

貯蓄の増加や、追加の収入源の確保、生活費の見直しなど、様々な対策が考えられますが、それでも完全に老後資金の心配を払拭することは難しいかと思います。将来の不確実性に対処するために計画を柔軟に調整することが重要です。

参考資料

立野 力