2024年度の公的年金は2.7%の増額改定となりましたが、物価上昇率を下回っています。

老後生活の柱となる年金収入が実質的目減りとなる中で、後期高齢者医療制度の保険料、65歳以上の介護保険料は増額。

つまり「収入は減り、支出は増える」という状況になっています。

少子高齢化が深刻な問題となっている日本では、将来、さらに年金支給水準が下がり、社会保険料や税金の負担が増える可能性があります。

現役世代の人たちは、老後に向けて公的年金に頼りすぎないよう、お金を蓄えておく必要があるでしょう。

では、老齢年金を受給する高齢者たちは、どれくらいの貯蓄を保有し、毎月いくらの年金で生活をしているのか。

今回は70歳代夫婦世帯に焦点をあて、「貯蓄額・年金月額」から暮らしぶりを覗いていきます。

1. 【70歳代夫婦の貯蓄額】平均1757万円・中央値700万円

まずは70歳代夫婦世帯の貯蓄額を見ていきましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情は次のとおりです(金融資産を保有していない世帯を含む)。

【写真4枚】1枚目【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯/2枚目以降で「国民年金・厚生年金の一覧表」をチェックする

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:1757万円
  • 中央値:700万円

1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円でした。

しかし、より実態に近い数値と考えられている中央値を見ると700万円です。

この700万円が70歳代夫婦世帯の貯蓄額の目安となりますが、貯蓄事情は世帯によって異なるものです。

貯蓄額階層別の世帯割合を見てみると、貯蓄額3000万円以上が19.7%、貯蓄ゼロが19.2%と二極化していることがわかります。

貯蓄がたっぷりあっても年金収入が少なければ、貯蓄を取り崩す必要が出てくるため安心できないでしょう。

では、現在のシニア世代は「厚生年金・国民年金」を月額どれくらい受け取っているのか。次章で確認していきます。