親になると「子どもときちんと向き合う」ことを勧められますよね。正面から向き合うことはもちろん大切ですが、子どもは親の「横顔」や「後ろ姿」からも学ぶものです。今回は子どもに見せたい顔の3つの向きをご紹介します。

「横顔」を見せて同じ時間を過ごす

時には、子どもに親の「横顔」を見せましょう。恋人同士も似たようなものですが、正面から向かい合うより、隣同士に座って同じことをする方がお互いの距離を近く感じるものです。横顔を見せるシチュエーションといえば、「子どもと一緒に何かをやるとき」。一番簡単なのは、子どもの遊びに付き合ったり、絵本の読み聞かせをすることでしょう。

子どもと一緒に家事をするのもお勧めです。たとえば一緒に洗濯物を畳んだり、ゆで卵の殻を向いたり、洗い物をしたり、机や床などを拭いたりしてみましょう。「親と一緒に何かをする」ことが好きな子どもは、嬉しく思うでしょう。

また、家事は子どもにとっては全てが新鮮であり、学びの良い機会になります。最初はもちろん上手にはできませんし、ほぼ遊び感覚でやることでしょう。それでも少しずつ教えてやり、できるようになったことを褒めると喜びます。

「ありがとう」と感謝したり、「キレイに畳むとパパや妹もお風呂を出たら気持ち良いタオルでふけるね」と伝えて家族の役に立つことを意識させると、やがて仕事感覚で家事をやるようになります。「親に教えてもらう」ことは嬉しいことですし、親に教えてもらったことは長く覚えているものです。

子どもになってほしい像を「背中で」親が見せる

子どもに後ろ姿を見せるのは良くないことのように思えますが、「親の背中を見て子は育つ」とよく言いますよね。親が言うことよりも、親がすることを子どもはよく見て、真似します。

子どもに「なってほしい姿」があるなら、親がまずその通りに行動するのが一番の近道です。子どもには勉強してほしい、「ありがとう」と「ごめんなさい」が言えるようになってほしい、健康になってほしい、思いやりをもってほしい…など沢山の願いがあると思いますが、まずは親が実行してみましょう。

また、親が仕事に精を出す姿を子どもに見せることもお勧めします。昔は家で仕事をすることが多かったので、子どもは親が仕事をする姿を小さい頃から見ることができました。親が仕事に精を出す姿は子どもの心に響くものですし、自ずと仕事について考える機会になったことでしょう。

現代では会社で仕事をする人が大半なので、なかなか仕事をする姿を見せることはできません。その場合、子どもに分かる簡単な表現で良いので、どんな仕事をしているか話したり、自分の仕事に関する本を探して見せたり、仕事で大変な思いをするけれど頑張っている姿を見せてみましょう。

親が仕事を頑張る姿は、子どもの良い刺激になります。子どもも自分の園や学校を頑張ろうと思うことでしょう。仕事を持つお母さんも多いと思いますが、罪悪感を抱くことなく、仕事に邁進する姿を子どもに見せてはどうでしょうか。

正面から向き合うこともやっぱり大切

子どもと正面から向き合うことも、やはり大切です。正面から向き合うのは3つの中で最も簡単なことのように思えますが、忙しい日々の中では意識しないとなかなか難しいことです。

「子どもから呼ばれたときは子どもの話を聞く」「お風呂の中で今日の出来事を聞く」「寝る前は子どもの話じっくり聴く時間」などルール化して決めておくと、忘れにくくなります。一日一回でも親に自分の気持ちをじっくり聞いてもらうことで、子どもは安心することでしょう。

正面の顔、横顔、後ろ姿と、どの角度からも子どもは親の顔をよく見ています。その表情も良いものだけではなく、失敗して落ち込んだり、嫌なことがあって怒ったりするときもあるでしょう。それも子どもにとっては良い学びの機会で、親が失敗や嫌なことにどう向かい合うかも見ています。どんなときでも前向きに努力する姿を、親は忘れたくないものですね。

宮野 茉莉子