2. 気にすべきは本質的な為替リスク
世界中の資産に分散投資をしているなら、短期的な為替の動きを気にすべきではありません。投資のプロであっても為替の先行きを予測するのは難しいことです。短期的な動きに一喜一憂せず、長期的に保有し続けることでリターンを期待できます。
また、世界への分散投資は、為替の影響を抑えることにもつながります。
多くの人にとって、資産運用をする目的は、将来必要なときに必要なお金を使いたいからではないでしょうか。
日本で暮らしていれば、円を使って買い物をします。一見、為替の影響はないように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。円で海外のモノやサービスを買っているので、実は大いに為替の影響を受けているのです。
円が世界の中で強い資産(円高)になっていればよいのですが、そうではなく、円が世界の中で弱い資産(円安)になっていれば、円で買える海外のモノやサービスの量が減ってしまいます。
そこで、将来的に海外からモノやサービスを買うことまで考えて、資産をあらかじめ世界全体に幅広く分散しておくことが大切です。
そうすれば、将来、世界中のモノやサービスを買うとき、世界中に分散している資産からお金を使うことができ、為替の影響を抑えることにもつながります。
3. 分散投資は物価上昇への備えになる
為替の動きは、日本の物価にも影響を及ぼします。大きな要素の一つが、円安の進行による輸入品の価格上昇です。食料品や光熱費などが上がったと感じる機会も増えているのではないでしょうか。国際情勢の影響をふまえると、日本も今後、物価上昇の時代に突入していくと考えるのが自然です。
分散投資は物価上昇への備えにもなります。株式や不動産といった資産は、現金とは違って、物価上昇に強いと言われています。物価上昇に強い資産を持っておくことで、モノそのものの価格上昇に備えられます。
このように、世界中のさまざまな資産への分散投資は、長期的にはプラスのリターンが期待できるだけでなく、本質的な為替リスクの抑制と、物価上昇への備えにもなると考えられます。
ウェルスナビ株式会社 小松原 和仁