3. 住民税非課税世帯はどうなる?

定額減税は支払う税金を減税して負担を軽減する仕組みであるため、元々税金の徴収がない、あるいは徴収額が少ない住民税非課税世帯などの低所得世帯には恩恵がありません。

しかしこうした世帯が物価高による影響を最も受けます。

そこで、住民税非課税世帯や住民税均等割のみ課税世帯には、給付金の支給を行います。

3.1 住民税非課税世帯

住民税非課税世帯には、7万円が給付されます。

2023年夏以降に給付された3万円と合わせて10万円の給付となります。

さらに18歳以下の子どもがいる世帯には、子ども1人あたり5万円が加算されます。

3.2 住民税均等割のみ課税世帯

住民税均等割のみ課税される世帯には、10万円が給付されます。

2023年の3万円の給付の対象ではなかったため、今回の給付によって住民税非課税世帯と同等になります。

さらに18歳以下の子どもがいる世帯には、子ども1人あたり5万円が加算されます。

4. 定額減税で手取りがいくら増えるかシミュレーション【単身世帯編】

所得税3万円、住民税1万円の計4万円が減税されるからといって、6月の手取りがいきなり4万円増えるわけではありません。

税額も税金の徴収方法も人それぞれであるため、定額減税による月々の手取りの変化は一人ひとり違います。

そこで、給与所得者を例にして、月収と家族構成ごとにシミュレーションしてみたいと思います。

自分に近い事例から、減税のスケジュールと手取りの変化を把握できるでしょう。

なお、社会保険料や税金は計算を簡略化するために概算としているため、実際の金額とは異なります。あくまでも目安としてご覧ください。

4.1 月収25万円単身会社員の場合

所得税3万円、住民税1万円の減税となります。

【写真全6枚中1枚目】月収25万円単身会社員の場合。2枚目以降も定額減税の手取り額を状況別にシミュレーション

月収25万円単身会社員の場合

出所:筆者作成

所得税は5000円なので、6ヵ月間かけて3万円の減税を受けることができます。

住民税は年間12万円なので、減税分を引くと11万円になります。

11万円を11ヵ月で徴収すると7月から翌年5月までの徴収額は1万円となります。

住民税は6月分が徴収されないことでその後は従来どおりとなります。

今年の6月は手取りが1万5000円増え、7月から11月までは5000円増えることになります。
それ以降は従来どおりです。

4.2 月収40万円単身会社員の場合

所得税3万円、住民税1万円の減税となります。

月収40万円単身会社員の場合

月収40万円単身会社員の場合

出所:筆者作成

所得税は1万円なので、3か月で全額を引くことができます。

住民税は年間24万円なので、減税分の1万円を引くと23万円になります。

これを11ヵ月で均等に徴収すると約2万900円になります。

100円未満の端数については7月にまとめて徴収するというルールがあるため、7月のみ2万1000円となり、それ以降2025年5月まで2万900円が徴収されます。

今年の6月は手取りが3万円増え、7月、8月は9100円増えることになります。それ以降はほぼ従来どおりとなります。

4.3 月収60万円単身会社員の場合

所得税3万円、住民税1万円の減税となります。

月収60万円単身会社員の場合

月収60万円単身会社員の場合

出所:筆者作成

所得税は3万円なので、6月分で全額を引くことができます。

住民税は年間48万円なので、減税分の1万円を引くと47万円になります。

これを11ヵ月で均等に徴収すると約4万2700円になります。

100円未満の端数については7月にまとめて徴収するというルールがあるため、7月のみ4万3000円となり、それ以降2025年5月まで4万2700円が徴収されます。

今年の6月は手取りが7万円増え、7月から翌年の5月までは手取りが2700円減ることになります。

手取りが減る理由は、6月の住民税が徴収されないことで、6月の手取りが定額減税以上に増えたために、その分を11ヵ月で調整して減らしているからです。

続いて、扶養家族がいるケースをシミュレーションしてみましょう。