5. 定額減税で手取りがいくら増えるかシミュレーション【2人以上世帯編】
ここからは、2人以上の世帯が定額減税で手取りがいくら増えるかシミュレーションしていきます。
5.1 月収30万円扶養家族が1人いる会社員の場合
所得税6万円、住民税2万円の減税となります。
所得税は5000円なので、12月までに3万5000円の減税が受けられます。
しかし定額減税は6万円なので、2万5000円減税が受けられないことになります。
この場合、引ききれなかった減税分は「給付」という形で支給されます。
住民税は、年間12万円なので、そこから減税分の2万円を引くと10万円になります。
これを11ヵ月で均等に割ると約9000円になります。
100円未満の端数については7月にまとめて徴収するというルールがあるため、7月のみ1万円となり、それ以降2025年5月まで9000円が徴収されます。
今年の6月は手取りが1万5000円増え、7月から12月までは6000円増えます。
来年の1月から5月までは住民税が1000円少なくなるため手取りが1000円増えます。
これ以外に引ききれなかった2万5000円の給付があります。
5.2 月収40万円扶養家族が2人いる会社員の場合
所得税9万円、住民税3万円の減税となります。
同じ月収40万円でも扶養家族がいる場合は税額が少なくなります。
所得税は8000円なので、12月までに5万6000円の減税が受けられます。
しかし定額減税は9万円なので、3万4000円減税が受けられないことになります。
この場合、引ききれなかった減税分は「給付」という形で支給されます。
住民税は、年間19万2000円なので、そこから減税分の3万円を引くと16万2000円になります。
これを11ヵ月で均等に割ると約1万4700円になります。
100円未満の端数については7月にまとめて徴収するというルールがあるため、7月のみ1万5000円となり、それ以降2025年5月まで1万4700円が徴収されます。
今年の6月は手取りが2万4000円増え、7月から12月までは9300円増えます。
来年の1月から5月までは住民税が従来より若干少なくなるため手取りが1300円増えます。
これ以外に引ききれなかった3万4000円の給付があります。
5.3 月収60万円扶養家族が3人いる会社員の場合
所得税12万円、住民税4万円の減税となります。
月収60万円で扶養家族が3人いる場合をみてみましょう。
所得税は1万6000円なので、6月から12月までの所得税は0円となり、引ききれなかった残りの8000円は給付となります。
住民税は、年間28万8000円なので、そこから減税分の4万円を引くと24万8000円になります。これを11ヵ月で均等に割ると約2万2500円になります。
100円未満の端数については7月にまとめて徴収するというルールがあるため、7月のみ2万3000円となり、それ以降2025年5月まで2万2500円が徴収されます。
今年の6月は手取りが4万円増えます。7月から12月までは1万7500円、それ以降2025年5月までは1500円手取りが増えます。
これ以外に引ききれなかった8000円の給付があります。
6. 定額減税まとめ
定額減税は収入の多寡にかかわらず、一定額が減税される仕組みであるため、高所得者にとっては効果が薄く、中所得者、低所得者にとって有利な減税方法です。
また、税額が少なく、減税しきれない場合は、給付金として支給されるため、所得の低い層まで減税の効果が行き届く施策となっています。
さらに扶養家族が多いほど定額減税の恩恵を受けます。
扶養家族が多いと、納めるべき税金は少なくなりますが、定額減税は子どもも含めて1人あたり4万円になるので、減税される金額は多くなります。
そのため、減税される期間が長くなったり、満額が引ききれずに給付金として支給される金額が大きくなる傾向があります。
定額減税の目的が物価高に対応するためであることからも、低所得者ほど、家族が多いほど恩恵を受ける仕組みになっているといえるでしょう。
参考資料
- 国税庁「定額減税特設サイト」
- 国税庁「定額減税について」
- 公明党「6月からスタート 暮らし守る定額減税」
- 内閣官房「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」
- 総務省「地方税制度 個人住民税における定額減税について」
- 国税庁「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」
- 国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和6年分)」
- 総務省「個人住民税の定額減税に係るQ&A集」
石倉 博子