3. 「年金が上がることもあるんだ」2024年度は2.7%の増額も喜べない理由
公的年金は、賃金や物価の動向を鑑みて毎年度改定されます。2024年度は2.7%の増額となり、その初回支給日が6月14日に迫っています。
厚生労働省が公表する2024年度の年金額の例を見てみましょう。
3.1 国民年金
国民年金の場合、満額で6万8000円となりました。前年度比+1750円です。
3.2 厚生年金
厚生年金の場合、夫婦2人のモデル例として23万483円と算出されました。こちらは前年度比+6001円です。
モデル例とは、以下のような夫婦形態が想定されています。
平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」
つまり、
- 夫(厚生年金+国民年金):16万2483円
- 妻(国民年金):6万8000円
の合計となるので、ほんの一例であることがわかります。
いずれにしても、年金額が2.7%の増額になれば嬉しく思うシニアもいるはずですし、現役世代も「年金制度が危ぶまれていたけど、上がることもあるんだ」という感想を持たれるかもしれません。
しかし、物価上昇率を下回るため実質的には目減りとなる点には留意が必要です。
食品や生活必需品の値上げが続き、6月使用分から光熱費も飛躍的に上昇すると予想される昨今。年金の上昇額がこれを下回るため、生活が楽になるとはいえません。
せっかく増額となる年金ですが、「増えた」と肌で感じることは難しいかもしれませんね。