2. 【厚生年金】2人分として月額「約23万円」が支給される「標準的な夫婦世帯」とは?
前章で、標準的な夫婦が2人分として受給する年金額は月額23万483円であることを確認しました。
では、標準的な夫婦とはどういう夫婦を指すのでしょうか。
厚生労働省が”標準的な夫婦世帯”としているのは、「40年間会社員の夫」と「40年間専業主婦または自営業の妻」です。
国民年金と厚生年金を受給する「夫」と、国民年金のみを受給する「妻」の夫婦世帯となります。
23万483円の内訳は以下のとおり。
- 夫の国民年金:6万8000円
- 妻の国民年金:6万8000円
- 夫の厚生年金:9万4483円
上記のうち「夫の厚生年金」は、現役時代の厚生年金加入期間と給与・賞与などの報酬により決定する保険料によって年金額が算出されます。
夫の厚生年金「9万4483円」は、「40年間会社員として月額43万9000円(年収526万8000円)を稼いだ」ケースを想定したものとなります。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、2022年時点の正社員の平均給与は523万円ですので、平均的な会社員の世帯をモデルとした年金額の例といえるでしょう。
なお、本章で確認した年金額の例は、全て「額面」となる点にご留意ください。
意外と知られていないようですが、老後に受給する公的年金「老齢年金」は、給与と同じように税金や社会保険料が天引きされるのです。
次章で、老齢年金から何が天引きされるのかを詳しく見ていきましょう。
3. 老齢年金から天引きされる「税金・社会保険料」とは?
長い老後生活を支える柱のひとつとなる公的年金ですが、税金・社会保険料が天引きされます。
年金額が一定以下の場合には天引きされないものもあります。
老齢年金から天引きされる税金・社会保険料は以下の4つです。
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 国民健康保険料(75歳以上:後期高齢者医療制度の保険料)
所得税・住民税は、1年間の所得が一定額以下になると「非課税」となるため天引きされません。
しかし、介護保険料・国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料)は所得が低くても納付義務があります。
年金からの天引き(特別徴収)ではなく、納付書や口座振替により納付します。
このように老齢年金から税金や社会保険料が天引きされますので、額面の80~95%が手取りになると想定しておきましょう。
さて、ここまで2024年度の年金額例を見ながら、年金の仕組みについても触れてきました。
次章では、年金生活をおくるシニア世代の年金事情を把握するために、最新の年金受給額データを見ていきましょう。