4. 【認知症の兆候が隠れる場所 その3】たんす・クローゼット
4.1 「たんす・クローゼット」に意外なものをしまいこんでいたら要注意
いくら親子とはいえ、衣服などを収納している場所を勝手に開けたり片づけたりすることは躊躇しますよね。でも、ここも気をつけてほしい場所です。以下のポイントをチェックしてみてください。
- 整理整頓ができておらず、シミがついたり虫食いしたりした衣類も捨てられていない。
- 衣替えをした形跡がない。夏用の薄いシャツと厚手の毛糸のセーターが混在してしまわれている。
- 衣類とは全く関係ない“謎の日用品”などが隠されている。
親が几帳面な人であれば、ごちゃごちゃになった収納を見て、何かおかしいとすぐ変化に気づけるかもしれません。
筆者の母の場合、嫁入り道具として持たされた和ダンスに思い出の着物などを大切にしまっていましたが、ふとしたきっかけで数年前に処方された母の薬や、一万円札が「それなりに」入った財布が発見されました。
「こんなところに隠していたのか……」そのとき筆者の中で点と点が繋がったのでした。
「そういえば、季節にそぐわない格好をしていたり(※1)、『薬がなくなった、モノを盗られた』といった発言(※2)が頻発して家族は辟易していたなぁ……」と。
原因がわからなくてお互い疲弊しないように、収納がきちんとできているか、中にあるものを把握できているか、確認しておきましょう。
ちょうど今の時期は衣替えの季節。「せっかくだし服の入れ替えを手伝うよ」などと声をかけて、さりげなくチェックしてみるのも良いでしょう。
※1 見当識障害:いまの場所や時間、季節が分からなくなること
※2 物盗られ妄想:大切なものをどこかにしまったことを忘れたり、紛失してしまったことを自覚できず「誰かに盗まれた」と妄想してしまうこと
5. その「小さな違和感」が、早期発見に繋がるかもしれません
いつもよりのんびり時間がとれるゴールデンウイークだからこそ、実家に帰ったらここまで挙げた「3つの場所」をぜひさりげなく確認してみましょう。
認知症のサインはつい見逃してしまいがちですが、少しでも早く発見することが大切です。後悔しないためにも、「いつもと違うな」「昔はこうじゃなかったはず」などと親に対して違和感を覚えたら、気のせいだとやりすごさず、注意して様子をみてあげてください。
認知症の症状や進行状況はひとそれぞれですが、早期に発見することで、適切な医療や介護に繋げることができます。親子ともども、今後ともできるだけ健やかに穏やかに暮らせるよう、貴重なお休みであるGWの時間をぜひ活用してくださいね。
参考資料
佐橋 ちひろ