2024年度、公的年金は2.7%の増額が行われましたが、これが物価上昇の影響を受けて実質的には減少している状況です。前年の物価変動率が3.2%に達しているため、増加した年金額がインフレに追いついていないのが現実です。

さらに、帝国データバンクによる最新の調査によれば、4月で2806品目の食品が値上げされたと報告されています。これにより、多くのシニア世代が「年金が増えた」という実感を持ちにくくなっているでしょう。

このような状況の中で、現在のシニア世代がどれくらいの年金を実際に受け取っているのかは気になるところです。

今回は厚生労働省が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、具体的な数字を解説していきます。

1. 【図解】公的年金の仕組み!厚生年金と国民年金とは?

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。

【図解】日本の公的年金制度

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.1 国民年金(1階部分)

  • 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
  • 保険料は一律
  • 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる

1.2 厚生年金(2階部分)

  • 公務員やサラリーマンなどが加入する
  • 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
  • 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる

個人によって加入する年金や納付期間が異なるため、将来の年金受給額には個人差があります。

特に厚生年金は年収に応じた保険料を支払うため、より個人差が大きくなっています。